2008年8月30日土曜日

「アーティスト・イン・児童館」企画の動機

こんばんは、臼井です。


ブログ開設以前の活動のことも、少しずつお知らせしていきます。


まず、そもそもなぜこの「アーティスト・イン・児童館」が提案されるにいたったか、というお話です。


ぼくは数年前からキッズワークショップと言われるものに関わり、スタッフや企画の仕事などをしていました。キッズワークショップというのは、大雑把にいえばこどもたちがモノづくりやメディアを用いた遊びなどの体験を通して学ぶ場のことで、近年美術館など様々な施設で開催されていて、いわばちょっとしたブームになっています。(図工の時間が削減されたり、普段のこどもたちの活動場所が必要以上に限定されたりしていることなどが、こうした活動の重要性を際立たせているのでしょう。)


こうした活動の中で、ワークショップって面白いなぁと思う反面、「親御さんが(アートなどに)興味関心を持っているか否かで、ワークショップに参加するこどもは限定されてしまうのではないか?」という疑問を抱き続けていました。その疑問に対する答えが、「こどもを集めてワークショップを開催するのではなく、すでにこどもが集まっている場所にワークショップなるものを介入させていく」というものでした。「すでにこどもが集まっている場所」=「児童館」だったわけです。そこでぼくは、昨年12月より、東京都練馬区の東大泉児童館でフィールドワークを始めました。
児童館はこどもの「遊び」のフィールドです。そこで行われるすべては「遊び」であり、楽しいものには参加し、楽しくないものには参加しない。それが児童館で遊ぶ時の、こどもたちのルールです。1日で完結するワークショップは、最初から最後まで参加してはじめて意味があるもので、児童館のこどもたちのルールには適応しないでしょう。児童館の良さを損なわずにワークショップ的な取り組みを介入させるために導き出した答えは「児童館をアーティストの”作業場”にする」というレジデンスのような形式のプログラムを提案することでした。
そもそも、"workshop"とは”作業場”という意味の単語です。児童館の中で作品制作の作業が行われていて、その作業にこどもたちが関わっていけば、そこが"workshop"になると考えました。また、アーティストがつくる作品は、必ず社会との関わりを持ちます。児童館がアーティストの作業場になり、遊びの現場にそうした作業が入り込むことによって、こどもたちにとって、よりリアルなワークショップをつくり出すことが可能になると思ったのです。
こうして、「アーティスト・イン・児童館」というプログラムが考案されるに至りました。そして今年の4月、
以前からぼくが一緒に活動をさせてもらっていたアーティスト、西尾美也さんに話を持ちかけ、その3ヶ月後、本年度のプロジェクトがスタートする運びとなったのです。

2008年8月29日金曜日

西尾美也プロフィール

西尾美也(にしお・よしなり)

1982年奈良県生まれ。装いの行為におけるコミュニケーションに着目し、独自に設定した立場から作品を発表している。 2006年には、京都服飾文化研究財団KCIギャラリーにおいて、当所では初となる収蔵品以外の個展を発表。同年、長谷川祐子氏のキュレーションにより、 「The 4th Seoul International Media Art Biennale」に出品。2007年には、パリを舞台に、歩行者や観客を巻き込んだプロジェクト『Self Select』を繰り広げるなど、国内外で精力的に活動している。
NPOや企業とのコラボーレションも多く、『Tシャツ型コミュニケーションツール・ビタミンT』(NPO学習環境デザイン工房との共同開発)で 2006年度グッドデザイン賞、『CAMPふくのりゆうワークショップ』(株式会社CSKホールディングスとの共同開発)で2007年度キッズデザイン賞 を受賞。また、第一回キッズデザイン協議会ワークショップイベントにて、「こども・ふく・ワークショップ」をテーマに、鷲田清一氏・大月ヒロ子氏とトーク セッションを行なった。
作品集に『YOSHINARI NISHIO Fashionscape』(ファーブル芸術事務所、2006年)がある。
現在、東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程在籍、青山学院大学ヒューマンイノベーション研究センター特別研究員、NPO学習環境デザイン工房研究員

「西尾美也 作品展」開催(9/6〜22)

この度、東大泉児童館でのプログラム「アーティスト・イン・児童館」の実施にあたって、本年度の招聘作家であります美術家・西尾美也さんの作品展を開催することとなりました。この作品展は、西尾美也さんのこれまでの作品を皆様にご紹介することを目的とし、9月6日より22日にかけて、東大泉児童館、東大泉敬老館の2か所で開催します。この作品展を通じて、児童館でこれから始まっていく新たな活動のご理解とご協力を得られることを願っております。

また、 西尾美也さんのプロジェクトとして、10月から「ことばのかたち工房」を展開していきます。「ことばのかたち工房」では、いらなくなった古着を素材に、あ る「ことば」からイメージされる「かたち」をつくっていきます。毎月1~2回の開催を予定しており、できあがった「かたち」たちは、プロジェクト最後の 2009年2月(予定)に行われる展覧会で展示されます。
児童館のこどもたちだけでなく、一般の方々の参加もお待ちしております。
詳細は本ブログ、ポスター等でお知らせしてまいりますので、興味をお持ちになった方はふるってご参加ください。


2008年8月25日月曜日

8月21日 マネキン制作



こんにちは、臼井です。
本年度のアーティスト・イン・ 児童館が始動してから、西尾さんの2度目の訪問になりました。

この日は、活動の拠点となる児童館の音楽室で、これから行われる展示に使うマネキンを制作しました。このマネキンは西尾さんが考案したダンボールマネキン。ダンボールがあるところなら世界中どこでも展示ができるというスグレモノです。
さてこの展示ですが、9月6日より、大泉井頭町会の公共施設で、「西尾美也 作品展」が開催されます。
今後プロジェクトを展開していくにあたり、地域の方々に理解をいただき、興味を持っていただくために、彼のこれまでの作品を紹介する作品展を開催することになりました。
現在のところ、児童館、敬老館の2か所を予定しています。
展示に関してはまた後日記載いたします。
この日のマネキン制作。こどもたちは何のためにやっているのか分かっていない様子でしたが、
興味しんしんで音楽室に出入りしていました。カッターの扱いに若干の不安があったり、ダンボールをふりまわしたりして暴れたり、この日の音楽室は大盛り上がりだったのですが、無事にサンプルとなる男女のマネキンが2体完成しました。(ちなみに写真はこどもたちが撮ったものです。)
現在進行中の展示の企画次第ですが、目標はあと19体!!!
型を切るのは僕と西尾さんでやって、組み立てを子どもたちに手伝ってもらおうと思います。
あとは展示企画と、展示のポスター・フライヤーの準備です。
仕事、仕事!

2008年8月24日日曜日

アーティスト・イン・児童館 公式ブログ開設

このたび、練馬区立東大泉児童館にて、「アーティスト・イン・ 児童館」をスタートさせる運びとなりました。

「アーティスト・イン・ 児童館」は、児童館にアーティスト(芸術家)を一定期間お招きし、アーティストに児童館を作業場として活用してもらうプログラムです。「アーティスト」とは、モノをつくったり、パフォーマンスをしたりして、言葉を超えたコミュニケーションを持とうとする人たちのことです。アーティストという普段接することの少ない人と場所を共有し、関わり合うことをとおして、こどもたちは作品や出来事が社会の中に生みだされていく「現場」を体験することができます。
 
本年度は美術家の西尾美也(にしおよしなり)さんをお招きします。西尾さんは、人びとの「装い」によるコミュニケーションとその環境に着目した作品を制作し、国内外の展覧会などで広く活躍されています。

今後の活動につきましては、こちらのブログで随時お知らせしていきます。

みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。