2009年8月31日月曜日

大阪へ



水都大阪2009「水辺の文化座」に、西尾美也さんが招待されております。そこでなんと、「ことばのかたち工房」が開催されているのです!臼井、池上で応援に行きました。



「水辺の文化座」は、大阪のオフィス街にある川の上の公園、中之島公園を舞台に、様々なアーティストが作品を展示したり、ワークショップを開催したりするイベントです。
家族づれ、カップル、お昼休みの会社員など、訪れる人も様々。淀川テクニックのチヌは異様な迫力。ヤノベケンジのラッキードラゴンは見ると元気が出る。KOSUGE1-16のサッカーゲームはストレス解消に抜群の効果あり。藤浩志さんのかえっこは、流石に超人気。



児童館以外の場所で初めて開催される「ことばのかたち工房」。こりゃぁがんばらねば、と思っていたら、その会場はとっても小さな控え室的空間。お客さんが来づらい感じ。「なんなんだ、これは」と。



そんなことも言っていられないので、栗林隆さんの作品である小さな屋台を展開して、工房を外側へと進出させて、ようやくご家族や会社帰りに参加してくれる方が増え始めました。児童館では使っていない針やミシンも登場して、作品の作り方も、ふるまいも違う感じですが、みんなと楽しくつくりたい!という想いは一緒。


現場に出て、現場の雰囲気を感知し、ふるまいやしつらえを変えて、少しづつ雰囲気を作っていく。ディレクターなのか、コーディネーターなのかわかりませんが、制作現場を開く試み(=ワークショップ?)に関わるぼくらの活動とは、そういうものなのだ!という自覚を持てたような気がします。



そんなこんなで「ことばのかたち工房」は、大阪でもモリモリ頑張って制作をしています。がっつりと参加してくれる方、アイデア出しにチョロッと協力してくれる方、小さなものをちくちくしたいと言う方、ぜひぜひ中之島公園へ!






最後に宣伝。ぼくらが宿泊した此花区の「モトタバコヤ」。かつてたばこ屋だった建物を公民館として開放しているこの場所は、期間中いろんな人が滞在していて、とても愉快です。管理人さんが「えぇ!?あなたが!?」という人でびっくり。KOSUGE1-16のレジデンスもご近所にあり、藤さんのスタジオである此花メヂアでは、アーティスト向けにレンタサイクル事業も展開しています。ぼくらもちゃっかり貸してもらいました。この近くにあるたこ焼き屋「てっちゃん!」にもぜひぜひ足を運んでください。


臼井 隆志





2009年8月24日月曜日

浮島の島民になる


8月17日の夜,実行委員会の臼井、菊地、高木、山口で東京から新潟に向かいました。 ♯2の招待作家である北澤潤さんが参加している水と土の芸術祭2009浮島を体験するためです。


「浮島(うきしま)」は新潟市を流れる信濃川にぽっかりと浮かんでいました。
私たちが訪れたときには既に住まいがあり、集会所があり、灯台があり、炊事場があり、なんとお風呂までありました。本当に此処で暮らしているんだなという臨場感が私をわくわくさせました。

ここでは火をおこしてコーヒーを淹れることもできるしご飯も炊けるし、スープも煮込める。洗濯もできるし、昼寝をするにも快適。野菜を育てることもできる。生活するということをみたら普通のことかもしれないけれど、”どこで”生活しているかと客観的に見たときにそのヘンテコさが浮かびあがってきます。
普通じゃないところで普通のことをする。そんな浮島に「島民」として3日間滞在しました。

島民は島での出来事を手記として記します。北澤さんは日誌班として島民日誌と写真での記録をしており、島を訪れた人が自由に閲覧できるようになっています。昼過ぎから夕方にかけて多くの人が訪れます。毎日来る人、通りがかりの人、芸術祭のスタンプを集めている人、散歩コースの途中で寄る人…訪れる人は様々です。



島で印象的だった出来事をお話します。
小学生の女の子が自由研究で新聞を作るので取材に来たことがありました。どうやら時々浮島に遊びにきているようです。彼女の用意していた質問の一番最後に「このあとうきしまはどうなるのですか」というものがありました。北澤さんへの質問なのですが、なんだかドキッとしてしまいました。浮島は8月31日までの期間限定のもので、なくなることが前提の島なのです。



彼女が訪れて来たとき、私たちは「浮島甚句」をつくろうとしているところでした。新潟には「甚句」と呼ばれる歌謡が多くあり、祭りの時に演奏されそれに合わせて踊りを踊るそうです。島でもお祭りをすることになっていて、浮島の甚句を作ろうということになったのです。彼女は太鼓と笛ができるそうなので、楽器を一緒に作りました。甚句をつくろうとみんなで音を鳴らして踊って時々ふざけて訪れた人を巻き込んで…面白かった。



私たちが島にいる間には「浮島甚句」は完成しなかったのですが、もし完成してそれが歌い継がれていったのなら、たとえ島がなくなったとしても此処に浮島という不思議な島があり、生活している人がいたということを知ることになるでしょう。 また、取材に来た彼女は語り部となるかもしれません。新聞の完成が楽しみです。
浮島を体験して、この島がなくなった時に人々に与える影響・記憶は大きいであろうことを確信しました。
夜行バスで東京に戻ってきて、新潟での出来事がなんだか夢だったんじゃないかなと寝ぼけながら思いました。


浮島の報告は続編を予定しています。
こうご期待!

菊地みぎわ

2009年8月16日日曜日

取手でトーク/変で苦しくて楽しい。

取手アートプロジェクト実施本部「tappino」で西尾美也さんのアーティスト・トークが開催されました。

今年3月にケニアのナイロビで展開された「Self Select in Nairobi」、6月にフランスのナントビエンナーレで初めての試みだった「Over all:U-boat」、7月からの越後妻有トリエンナーレで注目の「家族の制服」といった最近の西尾さんの活動紹介と、2006年から毎年開催されている「TAPユニフォーム」プロジェクトについての紹介、そして「ことばのかたち工房」の活動が紹介されました。


カタチも見た目も着苦しいのだけど、ヘンテコでかわいらしい西尾さんの作品たち。日常の閉鎖的な感覚を解放する一方で、彼のプロジェクトに参加するぼくたちはある<苦しみ>を強いられます。それは、恥ずかしさ、着苦しさなど、他者からの冷たい(?)眼差しであり、日常的な衣服との親しみをひきはがす暴力であるとも言えます。でも、そんなことが「楽しい!」と思えたりする。「どうせ変なら楽しんでしまえ」という妙な雰囲気が生まれ、それが遊びへと発展したりもする。

西尾さんの活動は社会に対するイタズラであり、そこに関わる人が伸るか反るかは自由。もし関わるならば、そこで得られる楽しみとは引き換えに、ある<苦しみ>を伴う。それを経て転換する価値観。深まる経験と思考。快楽の記憶。

やっぱり西尾美也というアーティストは、本当に面白いなぁと思いました。そして、彼を面白くあらしめるために、彼を「善い者」と決めつけず、ぼくたちが彼のイタズラを疑い続ける必要があると思います。



2009年8月9日日曜日

「コミュニティーとユニフォーム」 西尾美也さんトークのお知らせ。

8月15日、取手アートプロジェクト実施本部「tappino」で西尾美也さんのアーティストトークが行われます。臼井も「アーティスト・イン・児童館」と「ことばのかたち工房」の運営者として出演します。

西尾さんのトークはとても面白いので、ぜひ聞きに来てください。

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アーティストトーク
西尾美也「コミュニティとユニフォーム」

「衣服を纏う行為」をテーマとした表現で注目を集めている、
西尾美也のアーティストトークを行ないます。西尾は、TAP2006からTAP2008までTAPスタッフのユニフォームを作る「ユニフォーム・プロジェクト」を展開してきました。それぞれの私物から抽出されたTAPのテーマカラーのパーツを組み合わせて独特の形を与えることで「ちぐはぐだけど繋がっている」というユニフォームの新しい可能性を探っています。2008年からは、こどもの遊び場である児童館をアーティストの作業場として活用するプログラム「アーティスト・イン・児童館」において、まちで働く人々の「仕事着」が持っている「物語」から、新しい「かたち」を作り出す「ことばのかたち工房」を展開しています。

今回のアーティストトークでは、
これらのプロジェクトに注目して、西尾がこれまで各地域の中で実践してきたさまざまな活動を振り返ります。また、アーティスト・イン・児童館のディレクターをはじめ、西尾美也のプロジェクトに関わっているスタッフや参加者などがさまざまな視点を持ち寄り、ミーティング形式で展開します。

みなさま、お誘い合わせのうえ、お気軽にご参加下さい。

日時:2009年8月15日(土)17:00~(2時間程度)
参加無料・申込不要
場所:Tappino(茨城県取手市井野団地3-21)
アクセス:JR常磐線「取手駅」東口、
関東鉄道バス3番乗り場から井野団地循環で約7分。
「井野団地」下車すぐ。
電話/FAX:0297-72-0177
※駐車場がありませんので、お車でのご来場はご遠慮下さい。

■スピーカー
西尾美也(アーティスト)
臼井隆志(アーティスト・イン・児童館 ディレクター)
■モデレーター
岩崎美冴(NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター事務局)

[プロフィール]

西尾 美也(アーティスト)
1982年奈良県生まれ。東京藝術大学大学院博士後期課程在籍。
装いの行為とコミュニケーションの関係性に着目し、国内外でプロジェクトを展開している。主なプロジェクトに「TAPユニフォームプロジェクト」(2006~)、「Self Select」(2007)、「ことばのかたち工房」(2008~)ほか。主なグループ展に「Media_City Seoul 2006」(ソウル市立美術館、2006)、「日常の喜び」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2008)、「越後妻有アートトリエンナーレ2009」(2009)ほか。

臼井 隆志(
アーティスト・イン・児童館 ディレクター)
1987年東京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部在籍。子どもたちの遊び場である児童館にアーティストを一定期間招待し、作業場として活用してもらうプログラム、アーティスト・イン・児童館を企画・運営している。これまでに、#1西尾美也プロジェクト「ことばのかたち工房」(2008~)、#2北澤潤プロジェクト「児童館の新住民史」(2009~)を実施している。

岩崎 美冴(NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター事務局)
1981年神奈川県生まれ。共立女子大学国際文化学部卒業。
アートマネージャー育成プログラムTAP塾インターン(2005~2006)。取手アートプロジェクト実行委員会事務局(2007~2008)。現在、NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター事務局。


お問い合わせ
取手アートプロジェクト実施本部 
〒302-0012
茨城県取手市井野団地3-21
電話/FAX:0297-72-0177 (電話のみ火・金 13:00-17:00)
E-mail:
tap-info@ima.fa.geidai.ac.jp
URL:
http://www.toride-ap.gr.jp

2009年8月7日金曜日

8月5日 「塾ごっこ」 & 次回予告

アーティスト・イン・児童館 実行委員会 事務局(仮)では、政治や経済や社会のことやアートのことを学ぶため、スタッフが持ち回りで講師になる「塾ごっこ」を開催しています。

初回は、一応大学生でもある臼井がこれまでに学んできた理論とアーティスト・イン・児童館の関係を整理しました。正統的周辺参加論、ジャック・デリダの「脱構築」、ミシェル・フーコーの「主体」、フロイドの「快楽」などなど。


次回の以降、テーマを「美術史」「企業経営」「民主主義」「発達心理」と随時設定していきます!

事務局メンバー以外も参加OK。持ち込み企画も当然OK。

「第二回 塾ごっこ」
日時:8月12日 水曜日 15:00~18:00
会場:練馬まちづくりセンター ミーティングスペース
    (西武池袋線、大江戸線 練馬駅から徒歩5分)


2009年8月6日木曜日

4つのことばのかたち

                    とても薄い
                接触の証拠

                すごいオレンジ


                名前の色



                

2009年8月4日火曜日

作品をゴミにしない。ゴミをゴミにしない。

「ことばのかたち工房」で作られた作品は、今、臼井家に大量に保管されています。つもり積もってダンボール約30箱。今日はその整理をしていました。


よくある子ども向けのワークショップで作られる作品は、子どもが家に持って帰ったとしても、そのうち捨てられてしまうのがオチ。大型の作品が作られる場合だと、運営側が後でこっそり捨ててしまう場合もあります。「え?捨てちゃうの?」と誰もが思うけれども、保管しておいても仕方のないことなのですよね。


「子どもたちが作った作品だから、とっておきたい。いつか彼らが自分が作った作品に出合いなおしたとき、大きな感動があるはず」という想いとか願いは僕らにもあって、それはある種の呪となって、臼井家にとりついています。だから作品を捨てられずに、それが堆積しストレスも溜まっていく。

そこで、スタッフの菊地さんのアイデアで、「ことばのかたち」を工房の当日に、子どもたちと一緒に解体することにしました。奴らは、壊すことを遊ぶプロフェッショナルです。こっそりと捨てるよりも、彼らの目の前で解体し、その素材をもう一度使って新しい「ことばのかたち」を作る方が、よっぽど健康。


どんどん集まってくる古着も、素材として使うだけでないもっと別の使い方があるかもしれません。「ことばのかたち工房」から、別のプロジェクトが派生していくかもしれない。藤浩志さんの「かえっこ」から「イザ!カエルキャラバン」が生まれたように。

作品をゴミにしない。ゴミをゴミにしない。エコだ、と主張するつもりはないけれど、子どもに体験を提供するためにゴミ出してどうするの、と。ゴミになりそうなモノたちを、何度でも鮮やかにつくり変えること。アートにできることは、まだまだあるでしょうに。

8月1日(土) ことばのかたち工房

みなさんこんにちは!

前回、初めて書いたブログの内容が全然まとまってなかったにもかかわらず、早速「世界1のブロガーを目指す!」などと大口を叩いている池上です。笑




さて、8月1日(土)におこなった「ことばのかたち工房」ですが、夏休みだけあって午前中は子どもの数がとても少なかったですねー!!

スタッフも、臼井君以外がみんな女性というハーレム状態。。。

スタッフの男女の比率だけでこんなにも現場の空気が変わるとは思いませんでした!!やはり当日だけでもいいので男性スタッフ欲しいですねー(> _ <)随時募集中です!!!

そんな中、前回来てくれてた女の子がお友達を引き連れて遊びにきてくれました!

その上、私たちがまだ準備している最中なのに「ねぇもうやってい〜い?」と何回も聞いてきました!!



メチャメチャ楽しみにしてくれてるやんけーーーーー!!!!



とか思いつつ私たちスタッフはあくまでも普通に「あ、うん、もういいよ〜。」

と冷静をよそおい返事をしましたが、きっと全員の頬は緩みまくってたと思います。笑

本当に…これだからやめられないですよね…

あぁ…生きててよかった…(´v`)←激しく実感。笑


幸せで胸がイッパイになりながらも制作スタート!


前回私は、1人で黙々と作業をしていてうまく子どもたちを巻き込めなかったので今回こそは!と思い、すでに布を触っている子の隣に行き声をかけました。

その子は「名前の色」を制作中とのこと。ピンク色の布を使いひらがなの「と」を表現していました。そこから好きな色の話、好きな形の話をして、ハートのカタチに切り抜いた布を筒状にしたものに貼っていきました。その女の子の想像を会話を通して共有し一緒にカタチにしていく作業がとても楽しかったのですが、制作過程で中々うまく想像しているようなカタチに出来ない事がありその子は飽きてしまいました。そこをもっと私が考えてカタチに出来ていたらその作品は2人で完成出来ていたと思います。




その点、臼井君はその日にボンドやグルーを使わずに出来る新しい手法を2つも開発していました!!しかも、大きな作品だったので、その作品を何人かで囲み作業をしながら会話をしていてとても楽しそうでした!!




午後からは中学生も遊びにきてくれて子どもの数も少し増えました。

シール交換をしている子、午前の続きから作っている子、私たちスタッフにちょっかい出して来る子など、相変わらず自由な空間です。笑




そこに、毎回午後からくる子が入ってくるやいなや、赤いコートを見てサンタクロースをつくる!

と言っていました。そしてその子はトナカイ、私がサンタという設定で色々作っていたのですが、私が少し音楽室から離れている間にその子がいなくなっていたので、あれ?と思い探したら、赤い布を丸めてつくった鼻をつけ、タウンジャケットについている様なファー付きのフードを被り、黒のピチっとしたスエット地のズボンをはいたまま遊戯室でドッチボールをしていました!笑

華麗にボールをよけていたのですが、格好が格好なため見た目かなりヘンテコでついつい笑ってしまいました。

でも、その子の様に古着や作品を身にまとい、変(みるからに普段着では無い様)な格好で音楽室から出ていつも通り遊んでいるだけで、音楽室だけでなく児童館内全体が「いつもとは違う」になって面白いと思います。それが繰り返されて子どもたちの中で「普通」になったらそれは大きな変化だし、もっと面白いですね!


今回のことばのかたち工房も色んな事が起こって楽しかったーーーヽ(゚◇゚ )ノ

とゆー事です。

毎回「ことば」を「かたち」にする。という同じ事をやっているのに、1日1日、本当に違う面白い事が起きる。


本当に…これだからやめられないですよね…←本日2回目。笑


あともう少し煮詰めて考えなければいけないのは古着の置き方ですね。

毎回私たちスタッフのなかでも反省点として出ます。大きな課題だと思います。


良かったところ、悪かったところを洗い出して次回はより楽しい「ことばのかたち工房」にしていきましょう!!



そんな次回のことばのかたち工房は、初めての東大泉児童館以外!

なななな…なんと!大阪ですね!!!

ことばのかたち工房 in 水都大阪2009!注目のアートプログラムに西尾美也さんが招待されているんです!おもいきり楽しむために今から準備にとりかかります!!!


長くなってしまいましたが…

では(^O^)/




池上 ゆいこ