2009年2月22日日曜日

第9回 ことばのかたち工房 2月21日





いつも朝は静かな児童館ですが、今日は朝からにぎやかで工房にもぞくぞくと子どもがやってきます。
<子どもにやさしい>ということばを考え始めたスタッフのまわりに子どもたちが集まってきたので、スタッフの1人が『<子どもにやさしい>ということばはどんなかたちをしているでしょーか、だれが一番おもしろいことをいえるでしょうか』と、まるで大喜利のようにゲーム感覚でお題をだすと子どもたちは我先にと次々と意見をだしてきます。
玉子やき、サンタ、いちじく、アルパカ、犬、ねこ、酸素、フルーツ、綿など様々なことばがでてきて、紙にかいていきました。紙を見ながら、これいいね、あれもいいねとまるで会議のようになりました。その中からアルパカとフルーツと玉子やきをつくろうということになり、アルパカが背中にフルーツをのせているかたちをつくることにしました。 今まで紙に設計図を描くということはしていましたが、そういえば今日のように紙にことばをズラリと並べて書いたことはなかったなとおもいます。途中から入ってきた子にことばのコンセプトを説明するときにその紙を見せると「ふーん」といってちょっと納得したような顔をしました。こんなふうにみんなでことばのイメージを出していって何かひとつのかたちになっていくというプロセスがいつもと違うかたちであらわれたなと感じました。

それから私はアルパカ作りにとりかかりました。そこへクッキングに参加している女の子たちが「今ポッキー冷やしてるからその間何かやりたいなぁ」という感じでやってきました。そして「アルパカって知らない、何?」という質問をしてきました。わたしは「やぎとひつじとラクダを混ぜたような動物で、ふわふわの毛の動物。。。」と知っていそうな動物を挙げて説明しますが、やっぱりピンとこない様子です。そこで図書室に動物図鑑あるかもしれないからみてこようという話になり、一緒に本を探しました。動物図鑑を探していると他にもたくさん面白そうな本があって寄り道をしながらもアルパカまでたどり着き、ああこうゆうの作るのねと納得した様子でした。それから工房にもどるとさぁ作ろうという雰囲気になりました。

子どもたちは児童館に遊びに来て、工作室や図書室、遊戯室、そしてことばのかたち工房を自由に行き来しながら彼らの世界を広げていきます。私たちスタッフも彼らの世界を少しずつ行き来できるようになっているなと実感した出来事でした。

あとひとつ、今日は工房の歴史に残る出来事がありました。初めてお母さんの参加があったのです。
少し前に大泉から引っ越した男の子が時々大泉の友達に会いにやってくるのに、一緒に来るお母さんなのですが、「ホールにいるとボールがこわいのよねぇ、ここって年齢制限ありましたっけ?」と工房に来てくれました。私は嬉しさのあまり「ぜひぜひ、一緒につくってください!」と勢いよく答え、<子どもにやさしい>かたちであるフルーツバスケットの中に入れるフルーツを手伝ってもらうことにしました。
おしゃべりをしながらバナナに挑戦しますが、なかなかうまくいきません。「息子にダメ出しされるわ」と笑いながら少しずつかたちをつくってくれました。

お母さんの参加は工房にとってとても大きなことだったと思います。そしてまた来てくれる気がしているので次回がとても楽しみだなぁと思いました。       (菊地)
 

そして今日のおもしろ事件はもう一つ。工房の外どころか、児童館を飛び出しての展開です。「ことばのかたち工房」のチラシと活動を紹介したパンフレットを、男の子三人と一緒に駅前で配りに行きました。なんでかわからないけど、先週の土曜日に児童館に行ったとき、「おい!うっすん!このチラシ駅前に配りに行こうぜ!」と言い出したのです。なんだか以前からチラシ配りにあこがれていたようで、ぼくが「よし、行くか」というと、テンションはメーターを振り切っちゃっいました。自転車にのって駅前に向かう途中も、自転車に乗ったまま通りすがりのおばあちゃんに「あの、これ、東大泉児童館で「ことばのかたち」っての、やってて、よかったら、あの、あそびにきてください!」と配ってしまうほどに。

二人ずつ駅の北口と南口に分かれて作業をしました。

おじさんに無視されれば「無視かよ!!!」。おばちゃんにもらってもらえれば「あざーっす!!!しゃー!!!」。小学生とすれ違えば、「おい!もらえ!ゴルァ!」。見る間にチラシを配っていきます。ちなみにぼくは、ほとんど何もしていません。笑

びっくりしたのは一番年下の3年生の男の子。冊子をページを開いて見せながら、「今、東大泉児童館でことばをかたちで表現する活動をしていて、とっても面白いので読んでみてください。」と言って通りすがる人の興味を引きつけてから渡してしまうのです。一切無駄のない簡潔で力強い説明。見習わなくては・・・・。

結果なんと、チラシ200枚強、冊子100枚以上を配りきりました。線路をまたぐ橋の上に集合して、4人で手をつないで「くばったー!!!」と去りゆく電車に向かって叫びました。まるでライブの後のバンドのように。そのあと、意気揚揚と児童館に凱旋。仕事を終えた彼らは「あと、おまえらやっとけ」と言わんばかりに心おきなく卓球に勤しんでいました。                                  (臼井)

2009年2月20日金曜日

第9回 ことばのかたち工房 2月20日







今日の午前中、一人の男の子(3歳)と一緒に、ピアノを適当に叩いた不協和音に合わせて変な顔をするという遊びをして爆笑してました。三歳児のあの狂乱っぷりは、デスメタルも顔負け。

今日は、「ことばのかたち工房」の9回目。
すごく単純なことに気づいた日でした。イメージって<知っているモノ>から浮かんでくるんだ、と。

たとえば今日こんなことがありました。
今日のことばの<隠れた思い出>について考えている時に、ふらっと入ってきた子に「<思い出>ってどんなかたちしてる?」と聞いてみると、かれは「さぁ?知らない」と答えます。「どんなでもいいよ、教えて」と聞くと、「あぁめんどくさ。この部屋くるんじゃなかった」といって出て行ってしまいました。

それはそれはショックな事件だったのですが、よく考えてみれば「<思い出>のかたちなんてわかるわけねーだろ」という話です。

しばらくして別の子に、「今、<思い出>のかたちを考えてるんだけどさ、最近楽しかった<思い出>なんかある?」と聞きました。彼は「夏休みに船に乗ったこと!」と答えます。その瞬間に、よし!じゃあ“船”をつくろう!ということになって、布で船を作り始めました。その時は、ひとつの船を作って終わりかな?と思っていたのですが、ところがどっこい。彼は次に布で海を作り、別の船を作り、どんどん世界を拡大していきます。<思い出>をかたちにしていく彼の様子は、溢れ出てくるイメージと戯れ、踊るようでした。

彼にとっては“船”とそれを浮かべる海が<思い出>のかたちをしていて、別の子にとっては“おたまじゃくし”とそれが住んでいるどぶ池が<思い出>のかたち。

ぼくは大人で、抽象表現を知っているから、<思い出>のかたちを考えるときに、ふわふわしたものやあかるい雰囲気のものを作ろうとします。でもそれはそれは難しい作業です。そんな難しい抽象表現という作業を子どもたちにさせようなんて無謀なことで、児童館に遊びに来ている彼らはそれを面倒に思うに決まっているわけです。“船”をつくろう!ということになれば、「あ、楽しそう」と直感できるのでしょう。なぜならそのかたちを知っているから。



“船”も、“おたまじゃくし”もそれ一つで独立しているわけではなく、他のものと関係しながら存在しています。ひとたび“船”や“おたまじゃくし”をつくれば、それがあるところ・住むところを作ろう、次はもう一匹つくろう・・・・という風に、どんどんつながっていく。楽しそう!という直感は、こうしてイメージが広がることへの予感でもあるのかなと思います。実際に船と海をつくった彼は、明日も来て作業を続けるそうです。まだまだイメージとの踊りは終わらない。

冒頭の三歳の彼の<思い出>のかたちも、“ピアノ”と“変な顔”だったりするのかな・・・・・。と、とりとめもないことを思っています。

2009年2月17日火曜日

掲載情報

「じどうかんちゃん」 

「ことばのかたち工房」の活動拠点である、練馬区立東大泉児童館が発行する新聞「じどうかんちゃん」No.96(12月号)に掲載されました。

 

「毎日新聞」

毎日新聞2009年1月30日夕刊、学生欄「キャンパる」に掲載されました。

1月24日海野さんと共に来てくださった、江口日来(ひみこ)さんの記事です。

2009年2月14日土曜日

「ことばのかたち」 の 帰るところ 『大泉のかたち展』 



「ことばのかたち工房」で、かたちの元になっていた<ことば>はどこから来たのか。

そして生み出された<ことばのかたち>はどこへ行くのか。



「ことばのかたち工房」の概要文にある、「作家が大泉の町から拾ってきたことば」というのは、実は、、、、
大泉の街で働く人たちの「仕事着(=ユニフォーム)」についてのインタビューから導き出されたものだったのです。「着心地はどうですか?」「気に入っているところは?」・・・こうした質問へのこたえから、<ことば>が抽出され、工房の壁に貼り出されます。

例えば、お豆腐屋さんからは「このエプロンの水に強いところが気に入っています。でも油とか火には弱いのよねぇ…」というお話がありました。このお話から西尾さんが「水には強い」「火には弱い」という<ことば>を抽出します。これらの<ことば>が工房の壁に貼り出され、スタッフや子どもたちの試行錯誤のもと<ことばのかたち>へと生まれ変わっていくのです。 そのあと、工房で生まれた<ことばのかたち>を、<ことば>の持ち主であるお豆腐屋さんのところに返しに行きます。を身につけてもらえば、普段の「仕事着」の中に潜んでいた<ことば>たちが<かたち>になって現れた、もう一つの「仕事着」が見えてきます。
今回行われる『大泉のかたち 成果報告展』では、インタビュー協力をしていただいた方々の各店舗に<ことばのかたち>を纏った写真を展示させていただいています。普段皆さんが目にしているお豆腐屋さんやお花屋さんは、どんな<ことばのかたち>を纏っているのでしょう?ぜひぜひ大泉学園まで足を運んできてください。わたくし臼井がご案内いたします。

~モデルさんのお店~
小島屋豆富店
もんじゃ焼き・お好み焼き わらべ
casual flower KANON
関口農園
ところ青果
・ポラン書房
三又酒店
太平観光株式会社
練馬区立東大泉児童館
練馬区立東大泉敬老館

お店に行くと、「ことばのかたち工房 活動記録集」をご自由にお持ちいただくことができます。この記録集には、モデルさんの写真はもちろん、ひとつひとつの<ことばのかたち>が出来上がったエピソードや、スタッフと子どもたちの活動の様子も満載です。
(活動記録集は、練馬区内の公共施設や都内の美術館等にも設置していただく予定です。)

16日から始まる、この『大泉のかたち 成果報告展』、どうぞご期待ください!!!

2009年2月10日火曜日

2月,3月の参加者募集と成果報告展のお知らせ


画像をクリックすると拡大してご覧いただけます。

4つのことばのかたち

相棒のお土産


 

邪魔なポケット


 

テーブルの位置の汚れ

 

暗黙の了解

「Asahi TownVoice 練馬」No.58 掲載情報


朝日新聞サービスアンカー(ASA)が発行する練馬区の情報誌「Asahi TownVoice 練馬」No.58(1月号)に掲載されました。

2009年2月9日月曜日

「キャンパる」記者 海野玄陽さんのコラム

芸術について考えたこと。

芸術とは何だろう。定義は人さまざまであるが、私はこのように思う。「混沌の噴出」である。突然ではあるが、この世界の実相というものはカオスであると私は考える。比喩的な意味ではなく、私はそう実感させられる事例をいくつか聞いたことがある。例えば、目の見えない人が最先端の医療技術によって突如光を得た世界で、その眼に映るものには直線や幾何学的な図形などは存在せず、形も色もすべてが混沌としている世界しか見えなかったという、医療現場での事例。また例えば、人間は目に見えたものを、いったん大脳の言語野で処理してから、それを「物質」として認識しているという事実。人間は自身の作り出した言語や数学などによって、本来無秩序な世界に作成した秩序を張り付けているに過ぎず(数学が真に人間の作りだしたものかどうかという議論はひとまず置いておく)、いうなれば自らが作り出した虚構の世界に生きているに過ぎない。盲目の人は世界の見え方と言語というものがうまく一対一対応していないため、突如光を与えられても、しばらくは自分の脳が眼前の世界を解釈できないでいるのだろう。
さて、私はそんな、本来無秩序でありカオスであり虚構ではない世界の「実相」、それが私たちの目に見えている虚構の世界の表層に穴を空けたときとき、人はそこに芸術を見るのだろうと思う。シュトックハウゼンという音楽家は、9.11を「想像できる限り最大の芸術的行為」と評した。この発言は世界に波紋を広げ、多くのマスメディアは彼を批判したが、その世間の圧力に負けて、彼はつい最近まで音楽活動を休止していた。しかし私は、彼の言いたかったことは「同時多発テロは美しい」という類のものではないと推測する。地球上には何十億という人間がひしめき合って暮らしているが、中には何世紀も前から恨み合っている人種間の対立もある。イラクの反米感情などがまさにそれだ。アメリカはそれまで武力的に勢力を誇示することで、何とか実質的対立を抑えて均衡という「秩序」を両国間の間に与えてきたが、同時多発テロによって一気にその秩序は崩れ去った。すなわちあの事件は、本来混沌とした人間社会のカオスがポンッと噴き出た事件なのだ。捉えようによってはこれは芸術である。岡本太郎の「芸術は爆発だ」という言葉にしてもそうだ。何か均衡の取れた物質を瓦解させる。それは実相の表現に他ならない。
「ことばのかたち」にしてもそうだ。先にも述べたように、ことばというものは、虚構の、秩序だった世界を作り出す。言い方を変えれば、ことばは本来もののかたちを作るものである。その「ことば」自身のかたちを作り出す過程において、子供たちによる誤解や偏見は、たいていの場合混入される。そうして出来上がった「ことばのかたち」は、本来の言葉の意味をまず確実に超越している。世界の根源的要素が言葉だとするなら、その言葉のかたちを捉えなおすということは、世界を根本から捉えなおすということだ。そしてその捉えなおす過程において、一瞬でも言葉の本来の定義が揺らいだとき、つまり世界に秩序を与えていた系が緩やかにほどかれていったとき、そこに私は芸術を垣間見ることができると思う。これが私の「ことばのかたち工房」に感じた想いである。





(1月24日に取材に来てくださった毎日新聞「キャンパる」の海野玄陽さんがコラムを寄せてくださいました。4月に予定されている成果展の取材もしてくださるそうです!)

2009年2月8日日曜日

第8回 ことばのかたち工房 2月7日






「第八回ことばのかたち工房」二日目。


昨日の朝、児童館にやってくると蒲田さんに、
「あまり大人が多くても子どもたちが工房に入りにくいだろうから工作室とかそこらに適当にバラけてね」
と言われました。昨日はスタッフが沢山来る予定だったので、僕含め、工房スタッフ数名は時々工房を抜け出し、ドッジボールやベーゴマなどの遊びに子どもたちといっしょに没頭したりもしていました。

僕なんか、久々にベーゴマをやったら台にすら乗らず、
「おい、ももー(百瀬)。がんばれよー」と呆れ混じりに子どもたちに声をかけられたりして、悔しくて必死に練習していました。(笑)
 それにしても、一端工房を出て、子どもたちの他の遊びに加わっていくと、工房では見られない姿が沢山見えてきてすごく面白い。
工房での作業は苦手でも、ドッジボールに関しては誰にも負けない子、ベーゴマ名人、お絵かき上手な子、オセロが大好きな子、…などなど、当たり前なんですけど、児童館には本当に様々な子どもたちがいるわけです。
 
僕は、東大泉児童館の近くには住んでいないのでなかなか普段の子どもたちの姿を見に遊びにくることはできないので、工房での関わりを通して知る子どもたちの姿が色濃く僕の中にあるわけです。だから、時々工房の外での彼らの遊びに加わり、関わってみることもすごく大切なことのように感じました。そこでしか見えないものもあるからです。
 
児童館は子どもたちの遊びの現場です。僕たちはそこに「ことばのかたち工房」という一つの遊びの現場を提供しているんじゃないかと思います。でも、それは児童館の中でのすべてでは決してなくて、児童館のなかにあふれかえっている沢山の遊びの中のひとつとしてあればいいんだと思います。子どもたちに工房を開いていくだけでなく、工房に関わる人々の心を工房以外にも開いていくこと、これが彼らと関わる上ですごく大事なんじゃないかと改めて強く感じました。

工房では、今回「邪魔なポケット」と「テーブルの汚れ」、「暗黙の了解」ということばのかたちが新たに出てきました。前のブログに書いてあった「北本アーツキャンプ」で今後一緒に活動していく「キタミン・ラボ舎」という市民団体の長の新井さんなども遠方よりはるばるやってきて一緒に作業をしてくれてすごく嬉しかったです。
「一緒に活動していく上でやっぱり(ことばのかたち工房を)見ておきたくて」という新井さんの意識にすごく感銘を受けました。僕自身、もっといろいろな活動に参加して勉強していく必要があると思います。そうすることで、きっと活動をよりよいものにしていくことができると思いますから。
僕自身は工房での作業の方法論を図にしようということで、「ことばのかたち 工房マニュアル」なども作りだしました。「はこ」「つつ」「むすぶ」などのやりかたを折り紙の織り方みたいなかたちで工房の一角に貼ることに。僕らの作業を見て真似て学んでいく子もいますが、それがうまくできない子もいるので、「こんなふうにやればこんなんできるよ!」といったかたちで、もっともっと作る喜びが伝わったらなー、なんて思ったり。実際マニュアルを見て作業している子もいたりして、作ってよかったなという感じです。

 次回の工房は2月20、21日です。工房は今後も続きます!今後は成果展などもあるのですごく楽しみです。お時間のある方は、いつでもふるってご参加ください。

(百瀬)




  

2009年2月6日金曜日

第8回 ことばのかたち工房 2月6日





ことばのかたち工房は今日で8回目をむかえました。


児童館に来る子どもたちにもっとこのことばのかたち工房を知ってもらい、気軽に遊びに来てほしいなという想いから工房で何をやっているのか・どんなものをつくっているのかがわかるようにしようということで、今までにできたことばのかたちをインスタレーションしてみることにしました。朝、ちょっと早めに来て、児童館のカバちゃんこと蒲田さんに相談して、カーテンを壁にかけて、作品をクリップで留めることにします。「ちょっと時計が浮いてるんだよなー」というカバちゃんの指摘で、時計にも「仲間のしるし」をくっつけてみることにしました。工房の中に散りばめられたことばのかたち。
音楽室がという空間が”ことばのかたち工房”としての色合いをより濃くした瞬間でした。

今日のことばは 「相棒のお土産」「暗黙の了解」「交換しやすい」の3つでした。 初めて参加してくれたスタッフもいて、一緒に考えながら作業を進めていきました。

3時をすぎると学校が終わった小学生たちがぞくぞくとやってきます。
今日は友達同士で一緒にくる低~中学年の女の子が多く、「交換しやすい」の絵を描いたり、ことばのかたちを作ったり、グルーガンで布の接着を手伝ってくれたり、ドレスを作ってファッションショーをしたりとにぎやかな工房でした。
きゃっきゃとはしゃぐ子たちの傍ら、集中して布を切ったり貼ったり作業する子もいて、同時ににあちらこちらでさまざまなストーリーが生まれて いるのがこの空間の面白いところです。
午前中に作品を展示した甲斐あって今日は初めて来てくれた子も多く 、いつもとまた違う雰囲気の1日でした。

また、グルーガンを使う際に子どもたちには手袋を着用してもらうことで、火傷などのけがの危険度が減ったのが実感できました。

まだまだやってみたいことや改善していく余地もあるので、今後進化し続けることばのかたち工房から目が離せません。

2009年2月5日木曜日

北本アーツキャンプに参戦







リポートは遅くなりましたが、1月31日、2月1日の二日間、泊まりがけで埼玉県北本市で行われた「北本アーツキャンプ」に参加してきました。

「北本アーツキャンプ」は北本市でこれから展開されていくアートプロジェクトの方向性を参加アーティストや運営チーム、北本市民の方々と一緒に考えていく公開ミーティングです。地域と芸術との関係のあり方に注目が集まる中で、また一つ埼玉県から新しい出来事が始まろうとしています。そこに今回のディレクターを務める水戸芸術館の森司さんからお誘いいただいて、ぼくらは埼玉県に乗り込むことになりました。

ですが、このプロジェクト、ぼくらが行く前の段階では、市全体を巻き込んで展開していくことと、2年間で何かしらの成果を出さなきゃいけないということ以外は何も決まっていませんでした。そんなプロジェクトの立ち上げから参加できるなんて、異例中の異例です。2日間にわたる今回の「キャンプ」は、ゆるく、そして濃かった・・・。

集まったメンバーはそうそうたる顔ぶれ。今回のアーツキャンプの主催である美術家の藤浩志さん、水戸芸術館の森さん、東京芸大の熊倉純子さんを筆頭に、参加アーティストのおなじみ西尾美也さん、KOSUGE1-16のお二人、北千住にあるオープンスペースおっとり舎を運営する大和田俊さん、デザイナーの川村格夫さん、wahの南川憲二さん、パフォーマーの矢口克信さん、、病院の村の北澤潤さんなどなど。こうしたメンバーに、一般市民の方や、取手アートプロジェクトをはじめとする美術関係者の方々を交えてディスカッションが行われたのです。

今回のプロジェクトの大きな目的は「アートを持続可能なものにすること」。町の中にアート作品を置いて観光資源にするだけではなく、地域のいろんな場所や活動の魅力を掘り起こし、アートなるものが“生まれ続けるシステム”をつくることなのだとか。アーティストを呼び込み、作品制作の作業が地域のいろんな活動に絡んでいくような仕組みですね。なるほどその意味では「アーティスト・イン・児童館」と、目指すところは似ています。北本がアートのための広大な“畑”なら、児童館はさしずめ“鉢植え”。いずれにせよ、土を耕す人(地域で活動する人・児童館の職員さん)がいて、そこに種を植える人(アーティスト)が来て、水をまく人がいて(運営する人)、収穫する人(キュレーター・ギャラリスト)が作品を出荷していく。でも、本当はそこに明確な役割分担なんてなくて、全部みんなでやらなくちゃいけない。地域の人も、アーティストも、実行委員会もキュレーターも、対等な立場で「アート」なるものを育て収穫する、農耕型のアートプロジェクトであるという点で、北本で起ころうとしていることと、アーティスト・イン・児童館は似ているなぁと思いました。正確にいえば、似せていかなくちゃ!と思ったのですが。

フィールドのリサーチ、企画の立案・運営、広報・出版といった様々な仕事を、プロフェッショナルを集めて遂行するのではなく、地域の人たちへと開いて、絡み合いながら進行していく必要があるのでしょう。

さてさて、そんなことを考えさせられた北本は、これから長い付き合いになりそうです。というのも、ぼくと百瀬が「北本アートプロジェクト(仮)」の事務局?をすることになったからです。ここで(仮)とか?とかが登場する時点できわめて曖昧なわけですが…。そんなこんなで、現在、必死で北本アートプロジェクトの企画書を書いています。

さて、今後どうなっていくのでしょう・・・?

2009年2月4日水曜日