2008年10月31日金曜日

第二回 ことばのかたち工房 10月31日











今日と明日にかけて、二回目の「ことばのかたち工房」。今日はその初日でした。
今回のキーワードは、
蒸れる
水には強い
青いストライプ
初めての冬
あたりさわりのない色
火には弱い
重い
空気孔
清潔
別人
夏に眠る
びしょぬれ

以上の12個です。


午前中は、音楽室でキーワードとなる「ことば」たちを紙に書いたり、古着をならべたり、準備をします。

その間、遊戯室では、0~3歳児とお母さんたちの「おひさまクラブ」という集まりをやっています。
そこでは毎週金曜日、歌や人形劇など、いろんな催しがあるのです。今日なんかはハロウィンの仮装大会をしていました。

おひさまクラブのかえりの会で「ことばのかたち工房」の宣伝とチラシの配布をさせてもらったら、お母さんたちは熱心にチラシの文面を読んでくれていました。次回からは親子での参加に期待!

かえりの会では「さーよなーら あんころもっち まーた きーなこっ♪」と歌ってお別れをします。素敵。
午後2時過ぎくらいからは、授業を終えた小学生たちが集まり始めました。

「またこれやってんの!?」「今日はなに!?」
とハイテンション。

ぼくとスタッフの百瀬くんはちょうど「重い」ということばのかたちの制作にとりかかったところでした。

「じゃあ、重い服を作ればいいじゃん!」

いつもいつも、どストレートな言葉が返ってきます。
そこで「重い服ってどんな服?」って聞いてみると、
「太い!」「でかい!」「黒い!」などとことばが返ってくるやいなや、黒い服の内側に、でかいものと太いものをくっつけ始めました。

こんな勢いで全部作れればいいのですが、
「火には弱い」とか「夏に眠る」とか、耳慣れないことばは少々難しかったらしく、ワンピースにズボンを貼り付けただけで、「はい、夏に眠る ができました!」といってポイっと放り投げてしまったりもします。「これどの辺が『夏に眠る』なの?」と聞くと、「えー、しらなーい。」という具合。
彼らが飽きないような工夫が必要だなぁと思います。
相変わらず無関心な子はひたすら無関心。夢中になってドッジボールをしています。
どうやって巻き込んでやろうかなぁと思案しているところです。

今日できたのは、「重い」と「蒸れる」の2つ。
制作中なのは「あたりさわりのない色」と「火には弱い」。

「あたりさわりのない色」は、ある1年生の男の子に言わせると、「当たったり触ったり、したくない色」のことで、それは「炎」とか「毒」とか「雷」なのだそうです。普段大人が使う意味からすると、たぶん、間違っているのだけれど、「あたりさわりのない色」という言葉と初めて出会った彼のイメージを大切に、明日は制作したいと思います。



さて、明日はどんな「かたち」が生まれるのでしょうか?




乞うご期待!!


2008年10月22日水曜日

へんてこおきがえ@児童館あきまつり

10月18日土曜日、年に1度のビックイベント「あきまつり」が開催されました。

あきまつりは毎年10月に開催されるイベントで、こどもたちは夏の終わりから準備を始めます。一緒にお店を出すグループをつくるところから、店長を決めて、看板をつくって、売り物をつくって、料理屋さんはメニューを考えるなど、手の込んだ企画と準備がなされていきます。当日は、たこ焼き、焼そば、ワッフル、クレープ、アクセサリー、射的、ボーリング、くじ引きなど約30店舗をこどもたちとスタッフで運営し、こどもたちや地域の大人たち相手に接客をしていきます。

お客さんはまず受付で名前を書いて、それから10,20,30,40,50,の番号が書かれたカードがもらえます。そのカードに書かれたポイントがお金の代わりで、その分だけ商品が買えるという仕組みです。今年のお金の単位は「ギリス」。たこ焼きを買うには「50ギリス」、射的1回「30ギリス」。ちなみに去年の単位は「スタア」でした。お金の単位も毎年こどもたちによる「あきまつり実行委員会」で決められます。

なんと今年の来場者数は1800人を超えたそうで、児童館の中は大にぎわい。たこ焼きやには長蛇の列。例年1500人近く来ているというから驚きです。職員の蒲田さんもおっしゃるように「“This Is 児童館”というイベント」なのです。


そんな中、「ことばのかたち工房」プロジェクトとしても、特別に出店させていただきました。

西尾さんの作品『Defective Clothes』を使った「へんてこおきがえ」というお店です。

この『Defective Clothes』は、全部が「間違った服」です。やたらとサイズの大きいズボン、シャツのかたちをしているけど一枚布、ボタンが多すぎるシャツ、肩ひもがとれたタンクトップ、襟ぐりのくっついたTシャツ・・・そんな「普通にはきられない服たち」を「普通ではない着方」で着てみることで、「新しい服」ができあがる、という作品なのです。
みんなで「へんてこ」に「おきがえ」して、記念写真を撮ってプレゼントしました。

お客さんのこどもたちは、色やかたちなど、いろんな基準で服を選んでいきます。何をしていいか戸惑う子がいたり、お店に入ったとたんに猛然と服を着始める子もいて、それぞれのペースで着替えていきます。
できあがった服はまさに「へんてこ」。服を着るこどもたちは、「たびびと」「ぺんぎん」「ねぎ」「宇宙民族」などなど、別の生き物になりきっている様子でした。4人で合体したり、ずるずるになったズボンを引きずって遊んでいたり、『Defective Clothes』はなかなか楽しい遊び道具になっていたようです。着ることだけじゃなく、服の山にもぐったり、服を投げ合ったりしていましたが・・・。

面白かったのは、高学年の女の子たち。自分たちは一切「へんてこおきがえ」をやろうとしないのですが、スタッフやほかのこどもに着せて、げらげら笑っています。彼女たちは、自分はこんな馬鹿なことしないわよ、といわんばかりに、着せた相手を笑います。決して自分たちの見た目を崩そうとはせず、友達には普通に見える着方で試すなど、彼女たちの中にある「おしゃれ」を貫く場面もありました。

そんなこんなで、「あきまつり」も「へんてこおきがえ」も大盛況でおわりました。
来年のあきまつりはいったいどうなるのでしょうか?楽しみです。

さて、来週はいよいよ「ことばのかたち工房」の2回目です。
みなさま、ふるって参加してください!!

2008年10月18日土曜日

審査投票にご協力お願いします



現在、横浜みなとみらいにおいて、工事現場仮囲い壁面を利用したアートコンペに参加しています。
一般からの投票も審査基準の一つになりますので、ぜひ投票にご協力ください。

各作品の紹介と投票はこちらから↓
http://www.morimoto-real.co.jp/wallart/

なお、今回の作品は実物大での出力が可能となり、パブリックアートとして不思議な効果を生んでいます。
横浜トリエンナーレ期間と重なっていますので、ぜひ現場にも足をお運び頂き、その雰囲気を味わって頂ければ幸いです。

展示期間:2008年9月13日(土)~12月7日(日)
場所:「MORIMOTO MM21-43PROJECT」工事現場仮囲い壁面(横浜市西区みなとみらい4丁目5-3)
交通:みなとみらい線「美術館口」から徒歩6分(横浜美術館の正面に向かって右奥すぐの区画です)

2008年10月7日火曜日

11個の「ことばのかたち」

                     

                夢と希望のポケット






                ひっぱられすぎたしっぽ






                     町の誇り






                   けんかの原因





                   国際理解





                  8年間の汚れ




                見つけやすい大人




                   明るい気分




                 自分に見えない汚れ




                  知ってるメーカー




                    ニセモノ

2008年10月5日日曜日

ことばのかたち工房 10月4日











昨日は第一回「ことばのかたち工房」の2日目。
午前中はワイワイとこどもたちが集まっていたのですが、今日の午後は地域のお祭りがあったので、いつもよりも静かな児童館でした。ことばのかたち工房の拠点である音楽室から戦場(ドッジボールや卓球をやるための遊戯室)が見えるのですが、今日は2、3人しかいませんでした。東大泉児童館にはあまり似つかわしくない、ゆったりとした時間の中で作業は行われました。

今日の「ことば」は

・見つけやすい大人
・明るい気分
・自分に見えない汚れ
・知ってるメーカー
・ニセモノ

の5つです。

スタッフが5人いたので、5人がひとつの「ことば」を担当し、こどもたちを巻き込みながら制作をしていきました。まず、スタッフとこどもたちで、それぞれの「ことば」のイメージについて議論し、テーマとなる「ことば」に別のことばを付け加えて、イメージの輪郭を作っていきます。たとえば、「ニセモノ」について、

「本物とニセモノ。」
「うそもの。」
「本物に似てるけど違う。」

などのことばをかわしながら、「ニセモノ」という「ことば」のかたちをイメージしながら、制作に取り掛かるのです。

「ニセモノってなんだ?」という問いに、スタッフの大人は「えぇ~!?」と答えに困ってしまいます。逆にこどもたちは、「ニセモノって○○のことだよ。」と、あたりまえでしょ?といわんばかりに答えを言ってくれます。でも、ドッジボールの合間にちょっとだけ顔を出した子に聞くと、「え?しらね。」とバッサリ。
正直に答えてくれます。


おもしろかったのは、なんとなくグループに分かれそれぞれの「ことばのかたち」を作り始めたころに、「明るい気分」を作っていた子が遊戯室や図書室で遊んでいるこどもや児童館の職員さんに、「明るい気分ってどんなとき?」とインタビューを始めたことでした。一つ質問し、一つ答えが得られるたびに、パーツをボンドでくっつけて、「明るい気分」をつくっていました。自分のイメージだけでつくるのではなく、いろんな人の「ことば」からイメージを広げて「かたち」をつくっていくそのプロセスに、はっとするものがありました。
その子は意図的に、みんなから「ことば」を引き出そうとしました。しかし、よく考えてみれば、おしゃべりしながら「ことばのかたち」をつくっていたぼくたちも、「ことば」を引き出しあっていたのです。それは単なるおしゃべりではなく、交わされている「ことば」を「かたち」に盛り込んでいく作業でもあったのです。おしゃべりだけでなく、そこで起きている出来事が、知らず知らずのうちに「かたち」に反映していく過程は、場を共有することでしか生まれえない「工房」の醍醐味だなぁと感じました。

今回の制作に、西尾さんは予定が合わずいらっしゃることができなかったのですが、「ことばのかたち工房」という場が機能することで、アーティストがいなくてもプロジェクトが成立するようになっています。アーティスト本人がいないというのは心細くもありましたが、3月の展覧会に向けて、しっかりと作品を
制作することができたように思います。

昨日、作業が終わりに近づいたころに来た1年生の女の子が、残念そうな顔をして、「今日もう終わりなの?」と聞いてきました。

「次いつやるの?」
「次は今月の31日だよ。」
「え?・・・うん。わかった。」

子どもにとっての1か月は途方もなく遠いのでしょう。つくったり遊んだりしたわけでもないのに、その子は掃除機をかけるのを手伝ってくれました。「ことばのかたち工房」がこどもたちの楽しみになってもらえそうな期待が、1か月後を待ち遠しくさせるのでした。

「ことばのかたち工房」
次回は10月31日、11月1日の金・土曜日です。乞う、ご期待!

2008年10月3日金曜日

ことばのかたち工房 10月3日





























「ことばのかたち工房」がいよいよスタートしました。

午前中はちびっこ(3歳くらい)とお母さんたちの「おひさまクラブ」の傍らでもくもくと準備を進め、午後から制作をスタート。3時すぎから小学生が集まりはじめ、たいそうにぎやかでした。

今日の「ことば」は、
・夢と希望のポケット
・ひっぱられすぎたしっぽ
・国際理解
・8年間の汚れ
・けんかの原因
・町の誇り
 の6つ。

スタッフが「国際理解」「けんかの原因」のかたちをつくり、こどもたちが「8年間の汚れ」「ひっぱられすぎたしっぽ」「夢と希望のポケット」をつくってくれました。出来上がった作品の写真はまた明日公開します。
はじめ小学生たちは、ぼくらが作業しているのを見て、いぶかしげに「なにしてるの?」と聞いてきます。
「ことばのかたちを作ってんの!手伝って。」と言って、やってることを説明すると、よしきた!と言わんばかりに作品のイメージを語り始める子や、「意味わかんない」と言いながらも古着を手にとってハサミで切ってみる子など、相変わらず十人十色。なんだかよくわからないまま「ことばのかたち」以外のものをつくってる子もいましたが、それはそれでOKということで。

ミシンやホットボンドを使った制作は危なっかしくて仕方なかったのですが、「おれミシン使えるじゃん!」と喜んでいる様子をみて、あぁ彼にとっては大切な体験になったのだなぁと思ったり。まあ何をつくろうとしていたわけでもなく、布に縫い目をつけただけなのですが。。

おもしろかったのは、「ひっぱられすぎたしっぽ」のかたちが生まれたプロセスでした。

4年生の女の子三人組が来て、ぼくが制作をしているところに服を投げつけてくるなどちょっかいを出しまくってきました。

「今『8年間の汚れ』のかたちを作ってんだよ。手伝え。」

「いやだ。なにそれ。意味不明。」

と言いながら、げらげらと笑いながら、後ろからぼくにスカートをかぶせてきたり、目隠しをしてきたりします。しばらくそれを受け流しながら作業をしていると、彼女たちは横に座ってびりびりと布を裂き始めました。なにがそんなに可笑しいのか、ゲラゲラと大爆笑。そんな中、一人が

「ひっぱられすぎたしっぽってなんなの?」
と、ばかじゃないの?と言わんばかりに言うと、もう一人が

「これでつくればいいんじゃないの?」

と白いレースをひっぱり出してきました。すると彼女たちは、細く裂いた布や、服についているあらゆる紐を、白いレースにどんどん結びつけて、ぐいぐいとひっぱって、「かたち」をつくり始めたのです。ゲラゲラ笑いを止めることなく。際限のないその作業は、結局最後まで続き、片付けの時間になると「はい完成!」といって、それをぼくの首にかけて、去っていきました。

ものの30分くらいの出来事でしたが、彼女たちの猛烈な勢いと、つくることが結びついた、とても印象的な場面でした。こんな風にして作品が出来上がっていくことの面白さを、もっとうまく言葉にしたいものです。

明日は第二回戦。土曜日なので午前中からバトルは始まります。
それではみなさん、乞うご期待!