2009年11月18日水曜日

11月14日(土) リベンジ!ことばのかたち工房


11月14日(土) 

2か月ぶりに東大泉児童館で「ことばのかたち工房」が開催されました。前回9月12日の工房では、女子たちの「ファッションショー」の猛威に完敗した我々。はたしてリベンジは成ったのか!?


前回の敗北を受けて、「ことばのかたち」の制作システムを抜本的に改善しました。作業工程を「古着解体」「設計」「制作」の3段階に分業し、古着の解体や設計図の試作や小道具の制作など事前準備を徹底。さらにものほし竿を使って素材をつるすなど、空間の使い方も大胆にアレンジ。


※ちなみにこれ、水都大阪水辺の文化座3大工房(「かえる工房」「スキン工房」「ことばのかたち工房」)から大きなヒントをもらっています。


準備は万端!当日を迎えます。9時過ぎに児童館に入って、机を設置したり材料を並べたりしているそばから子どもたちの攻撃は始まります。「あ、ごめーん」とか言いながら、せっかくつるした素材を外したり、「ファッションショーするからどいて!」と命令したり・・・。


めげずに、模造紙を広げて「設計図かくぞー!」と意気込むと、「おれがやる!かせ!」とペンを奪い、お決まりの「スーパーうんちくん」をゲラゲラ笑いながら描き始めます。


むむむ・・・負けてられるか。「おれは<開放感>を描きたいんだ!なんかキラキラしたもの、ドガーンって感じのものがいい」と主張してみると、それに呼応し「あぁん!?」とわめきながら、爆発的にペンを走らせてできたのが、これ。



これはなかなかいいな、ということで、この小5の大将が描いた絵をモチーフに、「おれも手伝うよ」と言ってくれた中2の男子と一緒に制作をすることに。大将は子分をいじめながら模造紙をくしゃくしゃにして暴れていましたが、何とかそのドローイングの部分だけを守り、制作開始。


この日、最も印象に残っているのがこの中2のイケメンの大活躍。彼とは長い付き合いで、小6のころから知っています。当時は荒くれ者だった彼が、驚くほどの落ち着きと手際をみせてくれました。

「花火」をイメージして<開放感>をつくるのですが、「みんなの考えを盛り込んでいこうぜ」と言い、工房にいる一人一人に素材の色やくっつけ方のアイデアをもらっていきます。

「ねーねー、あたしも手伝いたい!」「じゃあ何か布選んでくれ」

「白でもいい?へんかな?」「おまえが好きな色ならなんでもいいよ」

「この色微妙だな、はずすか?」「いや、それだとあいつの考えが見えなくなる」

数々の名言とともに、かつてないほどの集中力で制作に取り組んでくれました。ぼくらスタッフと小学生の間に中学生が入って指揮をとってくれたのは、とてもうれしかった。


さて、そんな「ことばのかたち工房」ですが、毎回数えきれないほど様々な出来事が起きています。しかし、すべて書こうとするとものすごく長文になってしまうので、今日はもう一つだけ。


今回初めて導入した「物干し竿」と、服から採れた「紐」を使って「くものす」を一人でつくった男の子の話です。

彼は、みんなが集中しているときにラケットをもって「卓球しよー」と言うような大物で、この日も持ち前のマイペースっぷりを発揮していました。

しかし、僕たちスタッフはみんな作業に没頭してしまい、卓球をする余裕はなく、彼は欲求を募らせていき、ペンを持ってスタッフの服に落書きしようとしたり、解体した服のパーツを投げたり、物干し竿をいじってはしゃいだり・・・

と、そうする中で何かひらめいたのでしょうか?俄然、モードを切り替え、何かつくりはじめました。ひも状のパーツを集め、結び、物干し竿の支柱に絡ませ、網目をつくっていきます。


「くものす!」

彼はそう言って、今度は小さなクモをつくりました。前足をひもに引っかかるようにして、巣の上を移動できるくクモです。出来上がった「くものす」について自慢げに説明する彼は、いつものワカランチンではなく一人の作家でした。

ぼくらの予期せぬところで、予期せぬものが出来上がった。それは単なる遊びだ、と言ってしまえばそれまでだけど、でも遊びの中の創造力が目に見える「かたち」になって現われた瞬間だった気がします。



そんなこんなで、たっぷり2000字。ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます。この日の出来事は、「工房ふりかえりメモ」としてスタッフがまとめたものがありますので、ご興味がある方は事務所に遊びに来た際にでも見ていってください。


※この文章の中では、個人名を出さないようにしています。正直「小学生」「中学生」あるいは、「子ども」「大人」という区分にも違和感を覚えながら文章を書いています。彼らとぼくらの関係を言葉で表現するのは、とても難しい。ここで使った「彼ら」/「ぼくら」の二分でさえあいまいなところがあります。「分類」とは、難しいものです。イニシャルで「A君」とかって書くようにしたらいいのかな?迷うところです。





2009年10月8日木曜日

10月7日(水) 解体+

10月7日

「ことばのかたち工房」で材料となる古着を、あらかじめ解体したらどうなるかを実験。

縫い目に沿ってハサミを入れる

え?なんでこんなくっつけ方してるの?

服を解体すると、服の構造をよりよく理解できます。

そういえば、モンゴルかどっかの仕立て屋さんは、修行するときまずは古着を解体する作業から始めるって聞いたことがある。

KOSUGE1-16の土谷さんからも、自転車を完膚なきまでに解体するワークショップの話を聞いたことがある。

ズボンの腰、裾の部分。

ものの構造を把握するには、まずは解体するのが一番いいらしい。

じゃあ、社会のしくみも?

袖、リブ、チャック、ポケット、変なヒモetc.

今後は子どもたちと、ハサミ使いがプロくなる特訓も兼ねて、ザクザクいってみたいと思いまーす。

臼井 隆志

2009年10月4日日曜日

10月3日(土) 子どもの夢・・・

10月3日(土)

事務局メンバーと第二回招待作家の北澤さんで、館長さんと職員さんとミーティングをしてきました。ぼくたちからは、今後の活動内容とスケジュールの確認。それから、ケガや個人情報保護の問題対策について。

北澤さんからは、「浮島」滞在のためにしばらく停止していたプロジェクト「児童館の新住民史」の具体的な内容について。日々の些細な出来事が文字と絵になって児童館に残っていくこの活動。何もしていないように見せかけて、流れゆく日々に輪郭をあたえてゆきます。



心に深く残っているのは、北澤さんの話に対する、職員の信さんのコメント。

「具体的な話はできないけど、事実だけじゃなくて、子どもたちの夢というか妄想というか、そういうものが見えてきたら面白いと思うな。それは希望なのかも知れないし、社会への批判なのかも知れないし・・・。でもそれが叶うような、そんな発展性を見せてくれると嬉しい」

それに対して北澤さんは、

「すぐにはできないけれど、活動していく中で自然と子どもたちが小さな夢の実現に向かって動き出すような、そこまで目指したいと思っています」と。

記憶があやふやなので、こう言っていたかどうかは定かではありません。これを読んだ方は、「ふーん」という程度にしか思わないかもしれないけれど、この会話はぼくたちにとって消化しきれないくらい、とても大きな意味を持つものです。

ぜひ、「どうして?」と思ってください。

とにかく、とてもとても嬉しかったのでした。

臼井 隆志

2009年10月1日木曜日

10月1日(木) 上野動物園へ

10月1日(木)

今日は「都民の日」ということで、春日町児童館の学童クラブの遠足で上野動物園に行ってきました。春日町児童館の学童クラブは、以前東大泉児童館でとてもお世話になったかばちゃんの今の職場。


30人の子どもらと乗り込んだ動物園は超満員。動物たちは全員あからさまにストレスを抱えている感じで、サイやオケピは苛立ちがピークに達していました…。それでも、ゴリラ、ペンギン、コウモリ、プレーリードッグなどなど、動物をたくさん見ることができたのは楽しかったです。両性類・爬虫類館のワニは、いつまでも見ていたかった…。


しかし、一緒に行動した彼らの好奇心というか、探究心には驚かされました。コワイとかカワイイという単純な感想を抱くでも、珍しい動物を見たことをステータスとするでもなく、その動物を食い入るように見つめ、鼓動と血の流れを感じ、そいつらの暮らしに想いを馳せようとするまなざし。いつまでも、そのまなざしにつきあっていたいと思うのですが、「みんな先行っちゃったよ、次行くよ」と立場上言わざるを得ない悲しさ。


学童に帰ってきてからも、18時までクラブで遊んでいました。池上がゴリラのものまねをしただけで発狂せんばかりの大爆笑。遠足の高揚感はいつまでも彼らを昂ぶらせていました。

また会いにいこう。

2009年9月27日日曜日

9月27日(日) 小さな森のコンサート



9月27日(日)

朝一番で読売新聞を買いに行って、あまりの写真の大きさにショックを受け、それを引きずりながらパソコンの前に座って唸りながら書類を作っていた今日の前半。

夕方から出かけようと思っていたのですが、ちょっと早めに家を出て、いつも遊んでいるみどり公園をぷらぷらすることにしました。公園のほうへプィーっと自転車をこいでいくと、何やら金管楽器の音がするではないですか。見てみると、そこではコンサートが行われていました。


『小さな森のコンサート』 出演:金管五重奏団「音泉」

これは!と思って公園に入ろうとしたら、児童館の地域懇談会で知りあった中嶋さんがいらっしゃってプログラムを渡してくれました。木に寄りかかりながら、しばらく音楽に身を浸していました。

中嶋さんたち「みどり広場運営委員会」は、公園を面白く使っていこうとこの企画をつくったそうです。他にも、幼稚園児や未就学児とお母さんたちが集まって外遊びやピクニックをする「遊ぼう会」など、いろんな活動をされています。



小さなコンサートだけど、このコンサートを開くまでにいろんなことがあったんだろうな。近隣の方に理解を求めるのとか、広報とか、大変だったんだろうな。町の公園でコンサートを開く・・・小さなことなんだけど、実際にそれをかたちにしたことはすごいことです。「私はこんなことがしたいんだ」とか「すげえでかいことやってやる」とか言っているだけの人よりも、小さくても、ひたむきにつくりつづけるような姿勢にぼくは心を打たれます。そういう人たちに出会うと、そうだよな、それしかないよな、と確かめることができます。

大きな勇気をもらった秋の午後。公園では蝉が小さく鳴いていて、風はふんわりと冷たく吹いていました。

臼井 隆志

9月27日(日) 読売新聞 掲載

9月27日(日)読売新聞の「広告のページ」に、臼井のインタビュー記事が掲載されています。

うーん。変な感じだ。


2009年9月20日日曜日

2つのことばのかたち

ナチュラル


    

2009年9月19日土曜日

9月17日(木) まちのロビー。墨東まち見世2009



9月17日、「東京アートポイント計画」のメイン事業、「墨東まち見世2009」が開催される、向島エリアに行ってきました。

目的は、劇作家の岸井大輔さんが繰り広げる「墨東まち見世ロビー」を体験しにいくこと。なかなか活気のある商店街の中でもひときわ異様な存在感を放つその空間。両サイドの黒板には、子どもたちが立ち寄って絵を描いていくそうです。



「ん?なんじゃ!?」と思って立ち寄る人たちに岸井さんは声をかけ、商店街で買ったお茶やお菓子をふるまって、お話をします。と言っても、自分の活動を説明するのはわずかで、相手のやっていることや興味のあることを自然に聴きだしていきます。さすが「劇作家」。そこでの出会いから即興的に演劇を作り上げているのですね。この空間と岸井さんのふるまいから、関係性の網目が町の中に広がっていくような、そんな浸透圧のある岸井さんの「作品」。必見です。


左端が岸井大輔さん

そんな墨東まち見世ロビーですが、実はこの日「アーティスト・インの条件」というタイトルのトークイベント(というか座談会)が行われていたのです。一応話す人は岸井さんと僕。お客さんは5人。でも、お客さんとスピーカーの住み分けなんか本当にどうでもよくなってくる素敵な座談会でした。

第1部では、アーティスト・イン・児童館の活動紹介と、その考え方の紹介。



第2部では、「アーティスト・インの条件」の本題。「まちなか」にアーティストを投入する「東京アートポイント計画」ですが、これは本当はどうあるべきなの?という議論を、岸井さんと東京文化発信プロジェクト室の石田さんが熱く繰り広げていきます。「素人/趣味がいい/玄人ウケ/すごい」という4段階のざっくりした岸井さんの分類は適格。[趣味がいい]は、なんか面白くなるかも!といろんな人に予感させられる人。[玄人ウケ]は展示をして作品だけで威力を発揮できる人。[すごい]は、アートに興味が全くない人にも、面白い!と思わせることができる人。「[趣味がいい]と[玄人ウケ]の中間ぐらいの人たちがまちなかで多く活動しているように思うけど、本当は[すごい]のレベルじゃないとまちなかで活動しちゃいけないと思う」という彼の意見にも納得。



そんな話で熱くなっていたら、ひょんな来客。日本の北端から自転車の旅をしてきた2人が到着!南端からくる別のグループと、このロビーを待ち合わせ場所にしていると聞いた途端に、岸井さんは早速お茶を出し、石田さんは隣のてんぷら屋でてんぷらを買ってふるまう。「あざーっす!」ともぐもぐ食べる。あっというまにロビーの日常に溶け込んでしまう始末。なんとも不思議なこの感覚。

そんな即興ホームコメディをはさみつつ、第3部。ここからは、岸井さんを中心とした話題。「東京のアートに必要なものは何か?」という議論です。この結論、逆説ですが「アートは必要だ、という実感が必要」というもの。実感とは、体験、イメージ、言葉によって生まれるという岸井さんの説明はとってもわかりやすい。では、一体アートとは何か!?という話になります。つくること、表現すること、逸脱すること、いろいろありますが、要するに人間にとって普遍的な行為なのかなと思います。でもそれに対して意識的であるかどうか…アートとそうでないものを隔てるのは、それだけのことなのでしょう。

まとめとして、「東京アートポイント計画の課題」を明確にして、トークを終わりました。その課題とは、東京のまちなかで繰り広げられる様々な活動を、いかにそれがアートであると説明するのか。「あぁ、前衛なのね」というしょっぱい了解をされるのではなく、「つくること」「表現すること」の意味を「アート」という括弧の中で多くの人と共有することができるのかどうか。

うーん、ぼくらとしてはたぶん関わった人たちが楽しければ何でもいいのだけれど、「アーティスト・イン・~」と言って、アートを語る以上、それをアートとして説明できなきゃ恰好がつかないと。しかし、岸井大輔さん、相当面白かった。何が面白いかは、会いに行けばわかります。ぜひぜひ皆様、墨東まち見世ロビーへ足を運んでみてください。






2009年9月16日水曜日

9月12日(土) 惨敗…ことばのかたち工房



こんばんは!

毎度!池上です!!

9月12日の「ことばのかたち工房」から「東京アートポイント計画」として公式にスタートしました。


大阪から意気揚揚と児童館に凱旋し、記念すべき初日を迎えました!と言いたかったところですが…




惨敗でした。

私たちの準備不足がハッキリ目に見える結果になってしまいました。


「ことばのかたち工房」とは本来のファッションという概念を崩す試みで、「服」から「かたち」をつくるのですが、工房に遊びにきていた女子たちは「服」から「服」をつくりだし、最終的には自分達で審査員を決めてファッションショーをし始める始末…(笑)。彼女たちの中にある憧れなどは「かたち」になったものの、今ある「服」のイメージに囚われたものになっていました。一応できあがった「ことばのかたち」も数が少ない上にクオリティが低い…


しかしこうなってしまったのも全て私たちの責任!!

事前にしなくてはならない準備を今回は本当にきちんとこなせていないまま当日を迎えてしまったので、自分たちがしてしまった失敗と今後の活動に危機感を感じ、深く反省しました。(下の写真はボンドを買い忘れてわずかなものを絞り出しているの図)


そして帰り際にさっそく臼井と池上で反省会も含めの話し合い。

最初は2人とも今の現状をまのあたりにしてか放心状態でしたが、当日の悪かった点、実行委員のあり方、仕事の進め方など話してるうちに少しずつ根本的な問題が見え、そこから改善策をまとめました。


私たちに欠けていた責任感を自覚できるキッカケとなった1日でした。


子どもたちが「楽しかったー!」と言って帰っていった事だけが救いです。


さぁ!いつまでもヘコんでいられないので気持ちをきりかえ実行です!まずは古着の整理から!!!


次回、11月の「ことばのかたち工房」はリベンジなるかーーー??!

こうご期待!!!



池上ゆいこ


2009年9月11日金曜日

9月10日 旅を終え、いつもの公園から

9月10日、いつもの公園でオープンミーティングを行いました。



アーティスト・イン・児童館では、ミーティング等は基本的に公園など外で行うことにしています。昨日は、「ことばのかたち工房」で、布で工作する時に使う道具を考えていました。

紙ねんどを使って巨大な縫い針の模型を作っていたら、いろんな子が立ち寄っていきます。

「なにしてんの?」

「布で工作する時の道具考えてんの」

「家でやればいいじゃん」

「家でこもってやっててもつまんねーじゃん」

「あぁそうか」

と、こんな感じ。

しかしやつらは、僕らの作業なんか見向きもせず、赤、白、ピンク、黒の粘土を混ぜて遊びます。

「ほら見て!混ぜちゃったー」

とヘンテコな塊を見せ、ハナを垂らしながらイタズラに笑うから、「あー。でも、なんかそんな果物ありそうじゃん。」と言いました。すると、その塊にフックをつけて、木につるす遊びが始まります。



4歳の保育園児たちもお母さんと一緒に公園に来ていて、彼らもこの遊びに合流したもんだから、僕らも木につるす作業に駆り出されます。結局最後は一緒になって遊んでしまいました。


お母さま方と話したら、「ほんと、すばらしい活動をされてますねー!」と喜んでくれました。不審者だと思われなくてよかった。臼井は中学生だと思われ、池上はそのお母さんくらいに思われていたらしい…。

日本各地へ旅をしたこの夏。取手に始まり、新潟、妻有、大阪、そして最後は豊田市美術館のジュゼペ・ペノーネ。地元密着の日常から飛び出し、旅をする喜びをたっぷりと吸いこんで帰ってくると、馴染みの子どもたちが待っていてくれました。でも彼らとの飽くなき遊びの探究は旅そのもの。いつもの公園から、刺激的な日常が再び幕を開けました。

オープンミーティングと称した散歩は、毎週木曜日の夕方くらいに絶賛開催中。明日はことばのかたち工房です。ぜひぜひご参加ください。


臼井隆志




2009年9月3日木曜日

ことばのかたち工房ウェブサイトオープン!

水都大阪2009「水辺の文化座」にて、「ことばのかたち工房」開催中です。
活動の様子は以下のウェブサイトでご覧頂けます。

http://kotobanokatachi.wetpaint.com/

2009年8月31日月曜日

大阪へ



水都大阪2009「水辺の文化座」に、西尾美也さんが招待されております。そこでなんと、「ことばのかたち工房」が開催されているのです!臼井、池上で応援に行きました。



「水辺の文化座」は、大阪のオフィス街にある川の上の公園、中之島公園を舞台に、様々なアーティストが作品を展示したり、ワークショップを開催したりするイベントです。
家族づれ、カップル、お昼休みの会社員など、訪れる人も様々。淀川テクニックのチヌは異様な迫力。ヤノベケンジのラッキードラゴンは見ると元気が出る。KOSUGE1-16のサッカーゲームはストレス解消に抜群の効果あり。藤浩志さんのかえっこは、流石に超人気。



児童館以外の場所で初めて開催される「ことばのかたち工房」。こりゃぁがんばらねば、と思っていたら、その会場はとっても小さな控え室的空間。お客さんが来づらい感じ。「なんなんだ、これは」と。



そんなことも言っていられないので、栗林隆さんの作品である小さな屋台を展開して、工房を外側へと進出させて、ようやくご家族や会社帰りに参加してくれる方が増え始めました。児童館では使っていない針やミシンも登場して、作品の作り方も、ふるまいも違う感じですが、みんなと楽しくつくりたい!という想いは一緒。


現場に出て、現場の雰囲気を感知し、ふるまいやしつらえを変えて、少しづつ雰囲気を作っていく。ディレクターなのか、コーディネーターなのかわかりませんが、制作現場を開く試み(=ワークショップ?)に関わるぼくらの活動とは、そういうものなのだ!という自覚を持てたような気がします。



そんなこんなで「ことばのかたち工房」は、大阪でもモリモリ頑張って制作をしています。がっつりと参加してくれる方、アイデア出しにチョロッと協力してくれる方、小さなものをちくちくしたいと言う方、ぜひぜひ中之島公園へ!






最後に宣伝。ぼくらが宿泊した此花区の「モトタバコヤ」。かつてたばこ屋だった建物を公民館として開放しているこの場所は、期間中いろんな人が滞在していて、とても愉快です。管理人さんが「えぇ!?あなたが!?」という人でびっくり。KOSUGE1-16のレジデンスもご近所にあり、藤さんのスタジオである此花メヂアでは、アーティスト向けにレンタサイクル事業も展開しています。ぼくらもちゃっかり貸してもらいました。この近くにあるたこ焼き屋「てっちゃん!」にもぜひぜひ足を運んでください。


臼井 隆志





2009年8月24日月曜日

浮島の島民になる


8月17日の夜,実行委員会の臼井、菊地、高木、山口で東京から新潟に向かいました。 ♯2の招待作家である北澤潤さんが参加している水と土の芸術祭2009浮島を体験するためです。


「浮島(うきしま)」は新潟市を流れる信濃川にぽっかりと浮かんでいました。
私たちが訪れたときには既に住まいがあり、集会所があり、灯台があり、炊事場があり、なんとお風呂までありました。本当に此処で暮らしているんだなという臨場感が私をわくわくさせました。

ここでは火をおこしてコーヒーを淹れることもできるしご飯も炊けるし、スープも煮込める。洗濯もできるし、昼寝をするにも快適。野菜を育てることもできる。生活するということをみたら普通のことかもしれないけれど、”どこで”生活しているかと客観的に見たときにそのヘンテコさが浮かびあがってきます。
普通じゃないところで普通のことをする。そんな浮島に「島民」として3日間滞在しました。

島民は島での出来事を手記として記します。北澤さんは日誌班として島民日誌と写真での記録をしており、島を訪れた人が自由に閲覧できるようになっています。昼過ぎから夕方にかけて多くの人が訪れます。毎日来る人、通りがかりの人、芸術祭のスタンプを集めている人、散歩コースの途中で寄る人…訪れる人は様々です。



島で印象的だった出来事をお話します。
小学生の女の子が自由研究で新聞を作るので取材に来たことがありました。どうやら時々浮島に遊びにきているようです。彼女の用意していた質問の一番最後に「このあとうきしまはどうなるのですか」というものがありました。北澤さんへの質問なのですが、なんだかドキッとしてしまいました。浮島は8月31日までの期間限定のもので、なくなることが前提の島なのです。



彼女が訪れて来たとき、私たちは「浮島甚句」をつくろうとしているところでした。新潟には「甚句」と呼ばれる歌謡が多くあり、祭りの時に演奏されそれに合わせて踊りを踊るそうです。島でもお祭りをすることになっていて、浮島の甚句を作ろうということになったのです。彼女は太鼓と笛ができるそうなので、楽器を一緒に作りました。甚句をつくろうとみんなで音を鳴らして踊って時々ふざけて訪れた人を巻き込んで…面白かった。



私たちが島にいる間には「浮島甚句」は完成しなかったのですが、もし完成してそれが歌い継がれていったのなら、たとえ島がなくなったとしても此処に浮島という不思議な島があり、生活している人がいたということを知ることになるでしょう。 また、取材に来た彼女は語り部となるかもしれません。新聞の完成が楽しみです。
浮島を体験して、この島がなくなった時に人々に与える影響・記憶は大きいであろうことを確信しました。
夜行バスで東京に戻ってきて、新潟での出来事がなんだか夢だったんじゃないかなと寝ぼけながら思いました。


浮島の報告は続編を予定しています。
こうご期待!

菊地みぎわ

2009年8月16日日曜日

取手でトーク/変で苦しくて楽しい。

取手アートプロジェクト実施本部「tappino」で西尾美也さんのアーティスト・トークが開催されました。

今年3月にケニアのナイロビで展開された「Self Select in Nairobi」、6月にフランスのナントビエンナーレで初めての試みだった「Over all:U-boat」、7月からの越後妻有トリエンナーレで注目の「家族の制服」といった最近の西尾さんの活動紹介と、2006年から毎年開催されている「TAPユニフォーム」プロジェクトについての紹介、そして「ことばのかたち工房」の活動が紹介されました。


カタチも見た目も着苦しいのだけど、ヘンテコでかわいらしい西尾さんの作品たち。日常の閉鎖的な感覚を解放する一方で、彼のプロジェクトに参加するぼくたちはある<苦しみ>を強いられます。それは、恥ずかしさ、着苦しさなど、他者からの冷たい(?)眼差しであり、日常的な衣服との親しみをひきはがす暴力であるとも言えます。でも、そんなことが「楽しい!」と思えたりする。「どうせ変なら楽しんでしまえ」という妙な雰囲気が生まれ、それが遊びへと発展したりもする。

西尾さんの活動は社会に対するイタズラであり、そこに関わる人が伸るか反るかは自由。もし関わるならば、そこで得られる楽しみとは引き換えに、ある<苦しみ>を伴う。それを経て転換する価値観。深まる経験と思考。快楽の記憶。

やっぱり西尾美也というアーティストは、本当に面白いなぁと思いました。そして、彼を面白くあらしめるために、彼を「善い者」と決めつけず、ぼくたちが彼のイタズラを疑い続ける必要があると思います。



2009年8月9日日曜日

「コミュニティーとユニフォーム」 西尾美也さんトークのお知らせ。

8月15日、取手アートプロジェクト実施本部「tappino」で西尾美也さんのアーティストトークが行われます。臼井も「アーティスト・イン・児童館」と「ことばのかたち工房」の運営者として出演します。

西尾さんのトークはとても面白いので、ぜひ聞きに来てください。

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アーティストトーク
西尾美也「コミュニティとユニフォーム」

「衣服を纏う行為」をテーマとした表現で注目を集めている、
西尾美也のアーティストトークを行ないます。西尾は、TAP2006からTAP2008までTAPスタッフのユニフォームを作る「ユニフォーム・プロジェクト」を展開してきました。それぞれの私物から抽出されたTAPのテーマカラーのパーツを組み合わせて独特の形を与えることで「ちぐはぐだけど繋がっている」というユニフォームの新しい可能性を探っています。2008年からは、こどもの遊び場である児童館をアーティストの作業場として活用するプログラム「アーティスト・イン・児童館」において、まちで働く人々の「仕事着」が持っている「物語」から、新しい「かたち」を作り出す「ことばのかたち工房」を展開しています。

今回のアーティストトークでは、
これらのプロジェクトに注目して、西尾がこれまで各地域の中で実践してきたさまざまな活動を振り返ります。また、アーティスト・イン・児童館のディレクターをはじめ、西尾美也のプロジェクトに関わっているスタッフや参加者などがさまざまな視点を持ち寄り、ミーティング形式で展開します。

みなさま、お誘い合わせのうえ、お気軽にご参加下さい。

日時:2009年8月15日(土)17:00~(2時間程度)
参加無料・申込不要
場所:Tappino(茨城県取手市井野団地3-21)
アクセス:JR常磐線「取手駅」東口、
関東鉄道バス3番乗り場から井野団地循環で約7分。
「井野団地」下車すぐ。
電話/FAX:0297-72-0177
※駐車場がありませんので、お車でのご来場はご遠慮下さい。

■スピーカー
西尾美也(アーティスト)
臼井隆志(アーティスト・イン・児童館 ディレクター)
■モデレーター
岩崎美冴(NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター事務局)

[プロフィール]

西尾 美也(アーティスト)
1982年奈良県生まれ。東京藝術大学大学院博士後期課程在籍。
装いの行為とコミュニケーションの関係性に着目し、国内外でプロジェクトを展開している。主なプロジェクトに「TAPユニフォームプロジェクト」(2006~)、「Self Select」(2007)、「ことばのかたち工房」(2008~)ほか。主なグループ展に「Media_City Seoul 2006」(ソウル市立美術館、2006)、「日常の喜び」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2008)、「越後妻有アートトリエンナーレ2009」(2009)ほか。

臼井 隆志(
アーティスト・イン・児童館 ディレクター)
1987年東京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部在籍。子どもたちの遊び場である児童館にアーティストを一定期間招待し、作業場として活用してもらうプログラム、アーティスト・イン・児童館を企画・運営している。これまでに、#1西尾美也プロジェクト「ことばのかたち工房」(2008~)、#2北澤潤プロジェクト「児童館の新住民史」(2009~)を実施している。

岩崎 美冴(NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター事務局)
1981年神奈川県生まれ。共立女子大学国際文化学部卒業。
アートマネージャー育成プログラムTAP塾インターン(2005~2006)。取手アートプロジェクト実行委員会事務局(2007~2008)。現在、NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター事務局。


お問い合わせ
取手アートプロジェクト実施本部 
〒302-0012
茨城県取手市井野団地3-21
電話/FAX:0297-72-0177 (電話のみ火・金 13:00-17:00)
E-mail:
tap-info@ima.fa.geidai.ac.jp
URL:
http://www.toride-ap.gr.jp

2009年8月7日金曜日

8月5日 「塾ごっこ」 & 次回予告

アーティスト・イン・児童館 実行委員会 事務局(仮)では、政治や経済や社会のことやアートのことを学ぶため、スタッフが持ち回りで講師になる「塾ごっこ」を開催しています。

初回は、一応大学生でもある臼井がこれまでに学んできた理論とアーティスト・イン・児童館の関係を整理しました。正統的周辺参加論、ジャック・デリダの「脱構築」、ミシェル・フーコーの「主体」、フロイドの「快楽」などなど。


次回の以降、テーマを「美術史」「企業経営」「民主主義」「発達心理」と随時設定していきます!

事務局メンバー以外も参加OK。持ち込み企画も当然OK。

「第二回 塾ごっこ」
日時:8月12日 水曜日 15:00~18:00
会場:練馬まちづくりセンター ミーティングスペース
    (西武池袋線、大江戸線 練馬駅から徒歩5分)


2009年8月6日木曜日

4つのことばのかたち

                    とても薄い
                接触の証拠

                すごいオレンジ


                名前の色



                

2009年8月4日火曜日

作品をゴミにしない。ゴミをゴミにしない。

「ことばのかたち工房」で作られた作品は、今、臼井家に大量に保管されています。つもり積もってダンボール約30箱。今日はその整理をしていました。


よくある子ども向けのワークショップで作られる作品は、子どもが家に持って帰ったとしても、そのうち捨てられてしまうのがオチ。大型の作品が作られる場合だと、運営側が後でこっそり捨ててしまう場合もあります。「え?捨てちゃうの?」と誰もが思うけれども、保管しておいても仕方のないことなのですよね。


「子どもたちが作った作品だから、とっておきたい。いつか彼らが自分が作った作品に出合いなおしたとき、大きな感動があるはず」という想いとか願いは僕らにもあって、それはある種の呪となって、臼井家にとりついています。だから作品を捨てられずに、それが堆積しストレスも溜まっていく。

そこで、スタッフの菊地さんのアイデアで、「ことばのかたち」を工房の当日に、子どもたちと一緒に解体することにしました。奴らは、壊すことを遊ぶプロフェッショナルです。こっそりと捨てるよりも、彼らの目の前で解体し、その素材をもう一度使って新しい「ことばのかたち」を作る方が、よっぽど健康。


どんどん集まってくる古着も、素材として使うだけでないもっと別の使い方があるかもしれません。「ことばのかたち工房」から、別のプロジェクトが派生していくかもしれない。藤浩志さんの「かえっこ」から「イザ!カエルキャラバン」が生まれたように。

作品をゴミにしない。ゴミをゴミにしない。エコだ、と主張するつもりはないけれど、子どもに体験を提供するためにゴミ出してどうするの、と。ゴミになりそうなモノたちを、何度でも鮮やかにつくり変えること。アートにできることは、まだまだあるでしょうに。

8月1日(土) ことばのかたち工房

みなさんこんにちは!

前回、初めて書いたブログの内容が全然まとまってなかったにもかかわらず、早速「世界1のブロガーを目指す!」などと大口を叩いている池上です。笑




さて、8月1日(土)におこなった「ことばのかたち工房」ですが、夏休みだけあって午前中は子どもの数がとても少なかったですねー!!

スタッフも、臼井君以外がみんな女性というハーレム状態。。。

スタッフの男女の比率だけでこんなにも現場の空気が変わるとは思いませんでした!!やはり当日だけでもいいので男性スタッフ欲しいですねー(> _ <)随時募集中です!!!

そんな中、前回来てくれてた女の子がお友達を引き連れて遊びにきてくれました!

その上、私たちがまだ準備している最中なのに「ねぇもうやってい〜い?」と何回も聞いてきました!!



メチャメチャ楽しみにしてくれてるやんけーーーーー!!!!



とか思いつつ私たちスタッフはあくまでも普通に「あ、うん、もういいよ〜。」

と冷静をよそおい返事をしましたが、きっと全員の頬は緩みまくってたと思います。笑

本当に…これだからやめられないですよね…

あぁ…生きててよかった…(´v`)←激しく実感。笑


幸せで胸がイッパイになりながらも制作スタート!


前回私は、1人で黙々と作業をしていてうまく子どもたちを巻き込めなかったので今回こそは!と思い、すでに布を触っている子の隣に行き声をかけました。

その子は「名前の色」を制作中とのこと。ピンク色の布を使いひらがなの「と」を表現していました。そこから好きな色の話、好きな形の話をして、ハートのカタチに切り抜いた布を筒状にしたものに貼っていきました。その女の子の想像を会話を通して共有し一緒にカタチにしていく作業がとても楽しかったのですが、制作過程で中々うまく想像しているようなカタチに出来ない事がありその子は飽きてしまいました。そこをもっと私が考えてカタチに出来ていたらその作品は2人で完成出来ていたと思います。




その点、臼井君はその日にボンドやグルーを使わずに出来る新しい手法を2つも開発していました!!しかも、大きな作品だったので、その作品を何人かで囲み作業をしながら会話をしていてとても楽しそうでした!!




午後からは中学生も遊びにきてくれて子どもの数も少し増えました。

シール交換をしている子、午前の続きから作っている子、私たちスタッフにちょっかい出して来る子など、相変わらず自由な空間です。笑




そこに、毎回午後からくる子が入ってくるやいなや、赤いコートを見てサンタクロースをつくる!

と言っていました。そしてその子はトナカイ、私がサンタという設定で色々作っていたのですが、私が少し音楽室から離れている間にその子がいなくなっていたので、あれ?と思い探したら、赤い布を丸めてつくった鼻をつけ、タウンジャケットについている様なファー付きのフードを被り、黒のピチっとしたスエット地のズボンをはいたまま遊戯室でドッチボールをしていました!笑

華麗にボールをよけていたのですが、格好が格好なため見た目かなりヘンテコでついつい笑ってしまいました。

でも、その子の様に古着や作品を身にまとい、変(みるからに普段着では無い様)な格好で音楽室から出ていつも通り遊んでいるだけで、音楽室だけでなく児童館内全体が「いつもとは違う」になって面白いと思います。それが繰り返されて子どもたちの中で「普通」になったらそれは大きな変化だし、もっと面白いですね!


今回のことばのかたち工房も色んな事が起こって楽しかったーーーヽ(゚◇゚ )ノ

とゆー事です。

毎回「ことば」を「かたち」にする。という同じ事をやっているのに、1日1日、本当に違う面白い事が起きる。


本当に…これだからやめられないですよね…←本日2回目。笑


あともう少し煮詰めて考えなければいけないのは古着の置き方ですね。

毎回私たちスタッフのなかでも反省点として出ます。大きな課題だと思います。


良かったところ、悪かったところを洗い出して次回はより楽しい「ことばのかたち工房」にしていきましょう!!



そんな次回のことばのかたち工房は、初めての東大泉児童館以外!

なななな…なんと!大阪ですね!!!

ことばのかたち工房 in 水都大阪2009!注目のアートプログラムに西尾美也さんが招待されているんです!おもいきり楽しむために今から準備にとりかかります!!!


長くなってしまいましたが…

では(^O^)/




池上 ゆいこ