2008年10月5日日曜日

ことばのかたち工房 10月4日











昨日は第一回「ことばのかたち工房」の2日目。
午前中はワイワイとこどもたちが集まっていたのですが、今日の午後は地域のお祭りがあったので、いつもよりも静かな児童館でした。ことばのかたち工房の拠点である音楽室から戦場(ドッジボールや卓球をやるための遊戯室)が見えるのですが、今日は2、3人しかいませんでした。東大泉児童館にはあまり似つかわしくない、ゆったりとした時間の中で作業は行われました。

今日の「ことば」は

・見つけやすい大人
・明るい気分
・自分に見えない汚れ
・知ってるメーカー
・ニセモノ

の5つです。

スタッフが5人いたので、5人がひとつの「ことば」を担当し、こどもたちを巻き込みながら制作をしていきました。まず、スタッフとこどもたちで、それぞれの「ことば」のイメージについて議論し、テーマとなる「ことば」に別のことばを付け加えて、イメージの輪郭を作っていきます。たとえば、「ニセモノ」について、

「本物とニセモノ。」
「うそもの。」
「本物に似てるけど違う。」

などのことばをかわしながら、「ニセモノ」という「ことば」のかたちをイメージしながら、制作に取り掛かるのです。

「ニセモノってなんだ?」という問いに、スタッフの大人は「えぇ~!?」と答えに困ってしまいます。逆にこどもたちは、「ニセモノって○○のことだよ。」と、あたりまえでしょ?といわんばかりに答えを言ってくれます。でも、ドッジボールの合間にちょっとだけ顔を出した子に聞くと、「え?しらね。」とバッサリ。
正直に答えてくれます。


おもしろかったのは、なんとなくグループに分かれそれぞれの「ことばのかたち」を作り始めたころに、「明るい気分」を作っていた子が遊戯室や図書室で遊んでいるこどもや児童館の職員さんに、「明るい気分ってどんなとき?」とインタビューを始めたことでした。一つ質問し、一つ答えが得られるたびに、パーツをボンドでくっつけて、「明るい気分」をつくっていました。自分のイメージだけでつくるのではなく、いろんな人の「ことば」からイメージを広げて「かたち」をつくっていくそのプロセスに、はっとするものがありました。
その子は意図的に、みんなから「ことば」を引き出そうとしました。しかし、よく考えてみれば、おしゃべりしながら「ことばのかたち」をつくっていたぼくたちも、「ことば」を引き出しあっていたのです。それは単なるおしゃべりではなく、交わされている「ことば」を「かたち」に盛り込んでいく作業でもあったのです。おしゃべりだけでなく、そこで起きている出来事が、知らず知らずのうちに「かたち」に反映していく過程は、場を共有することでしか生まれえない「工房」の醍醐味だなぁと感じました。

今回の制作に、西尾さんは予定が合わずいらっしゃることができなかったのですが、「ことばのかたち工房」という場が機能することで、アーティストがいなくてもプロジェクトが成立するようになっています。アーティスト本人がいないというのは心細くもありましたが、3月の展覧会に向けて、しっかりと作品を
制作することができたように思います。

昨日、作業が終わりに近づいたころに来た1年生の女の子が、残念そうな顔をして、「今日もう終わりなの?」と聞いてきました。

「次いつやるの?」
「次は今月の31日だよ。」
「え?・・・うん。わかった。」

子どもにとっての1か月は途方もなく遠いのでしょう。つくったり遊んだりしたわけでもないのに、その子は掃除機をかけるのを手伝ってくれました。「ことばのかたち工房」がこどもたちの楽しみになってもらえそうな期待が、1か月後を待ち遠しくさせるのでした。

「ことばのかたち工房」
次回は10月31日、11月1日の金・土曜日です。乞う、ご期待!